【状況への失言】ロシア制裁の限界  日本も侵略の協力者

 テレビや新聞からありがたい情報が得られて喜ぶことも少なくないけれど、目の前が暗くなる情報もあって悲しいヨ。テレビでは短いニュースで聞き流していたけど、東京新聞2月11日の記事はゼレンスキー大統領と岸田首相のツーショットの写真を掲載しながら、ロシアが国内の海外企業が撤退するのを妨害しつつも、「制裁」が期待に反して効果を得ていないという記事を揚げていた。

 このところロシアが北朝鮮から大量のミサイルや砲弾を得てウクライナの犠牲者を増やし、一方の北朝鮮はそれまでの孤立したイメージがロシアに認知された喜びを表現するとともに、ロケットはじめ軍事的情報をロシアから得て気を強くしながら対韓・対米・対日の意識でロケットを打ち上げまくって力を誇示している。遠く離れたウクライナながらも、ノーテンキなキム・ジョンウン金正恩)のハシャギぶりは、日本や韓国にとってもウクライナとは切り離されることのない国家的危機を覚えざるをえない状況だ。

 新聞記事によれば、ロシアは北朝鮮から武器を輸入しているだけでなく、日本はじめロシアの「制裁」に加えたはずの英米諸国も、実状はロシアの経済を支えることによってロシアの武器生産に協力している、ということで苛立たしいかぎりだ。

 《ロシアで事業をしてきた外国企業3722社のうち、完全に事業を撤退したのは356社で、全体の1割に満たない。撤退表明した企業(504社)を合わせても2割強どまり。6割近い2167社が何らかの形でロシア事業を継続している。》

 《日本企業をみると、178社のうち、完全に撤退したのは9社で、撤退表明した14社を合わせても全体の1割強で、米国やドイツ、英国の3割程度と比べ、その比率は小さい。》

 一時マクドナルドやスターバックス、アップルなどがロシアから手を引いたニュースで世界を幸せムードにしてくれたものの、現況を知らされると胸がつぶされる思いだ。日本の企業の例として、新聞は別ページを使ってJT日本たばこ産業)の子会社がウクライナ政府から名指しで批判されている状況を報告している。

 《JTI(註~子会社)の(2020年度の)収益のうち36億ドル(当時の為替レートで約4千億円)が直接ロシアの国家予算に入った。これはほぼ毎日ウクライナの都市を恐怖に陥れているミサイルを搭載したロシア戦闘機100機の費用に相当する》

 日本政府はJTの株式の3分の1を所有していながらも、政府は「3分の2を占める上場企業として、自主的に対応していくべきもの」としながら関与しない姿勢を貫いている。新聞に掲載されたゼレンスキーと岸田のツーショットは、国連安全保障理事会におけるものではあるものの、岸田はヌケヌケとゼレンスキーの隣りに座っていられる立場ではない、ロシアのウクライナ侵略に加担していることをハッキリ自覚して言動すべきなのだから。