【聴く】五嶋みどりの社会活動  一つのことに打ち込み過ぎる副作用

 五嶋みどりというバイオリニストを知っているだろうか? 弟もバイオリニストで五嶋龍といって「題名のない音楽会」という番組などに出ることもあるけど、みどりの方はアメリカ在住のようなので知られてないか、世界的なレベルのバイオリニストなのだけどネ。幼い頃にアメリカのコンサートで協奏曲のソロを弾いていたら、弦が2本続けて切れたのですぐにコンサートマスターのバイオリンを借りて最後まで演奏したという話は、アメリカの教科書にも載っているそうだ。

 とはいえここでは彼女の演奏を語ろうというのではなく、一つのことに打ち込んで優れたレベルに達するのはイイけれど、精神的にマイってしまうことがあるということ。五嶋みどりアメリカの小中学校に演奏しに行くという社会貢献活動をしていると知った時、孤絶感に堪えきれなくなっているのじゃないかと察したのだけど、それが当たっていたのだネ。世界のトップと言ってもいいエマニュエル・パユというフルーティストも、一度ベルリン・フィルのトップになったのだけど、独立してソロ活動に限っていたのだネ。でもしばらくしてベルリン・フィルの演奏を見ていたらオケの中の一人として吹いていたので、やっぱり孤独感に耐えきれなくなったのだと思ったヨ(ベルリン・フィルから抜けずにずっと籍を置いていたのかもしれないけどネ)。

 ここで言いたいのは一つのことに限定してしまうと生きづらいということで、スポーツでも昔スイスの可愛らしいテニス・プレーヤーがいて評判になったことがあったけど、彼女は母親の指導でテニス以外に乗馬その他もやっていたと聞いてナルホドと思ったネ。他の若いテニス・プレイヤーの女子で(アメリカ人だったか)、世界的レベルに達しながらも非行にはしってしまったというのもいたからネ。一つのスポーツに限って打ち込むと、身体が変形するなど副作用があるという話はよく聞くけど、身体だけでなく心も病みなりがちなのだネ。特にテニスのようなチーム・プレイとは無縁なスポーツはアブナイのだろナ。

 

 五嶋みどりのことを書こうと思ったのは、朝日新聞2023年4月23・24日に記事になっていたのを保存してあったからだ。そこで天才少女と呼ばれたみどりがタイヘンな苦労をしていたのを知ったのだネ。3歳でバイオリンを始めて有名なジュリアード音楽院に入るために留学し、イジメにあいながらもバイオリンの練習に励んだそうだ。20代前半に摂食障害で休んだそうだけど、母親の再婚など理由がハッキリしないままウツ症状で入院しながら回復に数年かかったとのこと。

 社会貢献活動といっても国連平和大使としてカンボジアに行ったらゴミの山を見たり、ハンセン病の村にも行ったそうだからタイヘンだったネ。無力感に陥ることもあるものの、「私自身が救われています」とインタビューに応えていたヨ。まさに孤絶感からの救いということだネ。