次は開高健「或る声」

 今回の「浣腸とマリア」、久しぶりの野坂体験でしたが、、、あまり楽しめないテクストでした。お約束のパターンをなぞるかのような展開の仕方でしたが、何故ホモになっちまうのかは納得できませんでした。但し文体は相変わらずスバラシイ! お勧めした「エロ事師たち」は是非お読み下さい。欠席したキンちゃんとユウちゃんに是非読ませたいと思います。「エロ」から逃げていると文学は分からない、と痛感させたい。
 山本クンはそれなりに成長を示した感じでしたが、モッチは退行したかのような印象でした。ちょうど「概論」の授業で<物語>について講義しているところなので、レジュメのように概念規定が曖昧な使い方をされては困ります。年巨少年は祖母のおかねから<継母物語>と<エディプス物語>の両方を刷り込まれて(浣腸されて)成長した、と読めるのではないかと思いました。この二つの昔ながらの<物語>も、我々が<物語>に支配されていることを示しています。
 開高健は気になる作家で、沢山読みたいのですがなかなか機会が無いのでゼミで取り上げてくれると有りがたいです。初期はアレゴリー(寓話)が多かったですが、その中でお勧めは「パニック」かな。