目立たないヒトの目立った発表  小川洋子

「心臓の仮縫い」を宮崎・黒田ペアが発表しました。二人の発表を聴くのは初めてですが、それぞれが期待以上にユニークな意見を明言して刺激されました。今後は二人が自由討論にも加わってくれることを強く望みます。
語り手の「私」が男か女かで別れましたが、性別をはっきりさせない所にもこの(あるいは小川テクストの)特色があるのかもしれません。最後の場面はやはり想像であって、「犯行」現場の実況ではないと思いますが如何?
 文体の変化、病院以外では「あなた」という聴き手に向かっての「です・ます」体の語りになるという手法も、このテクストの面白さを増してます。これが「犯行」後の告白と読む上原クンの読みも面白いですが、何もそこまで(読まなくとも)という読みが乱舞するスゴイ2時間余でした。
 来週は小川洋子の最後で「トマトと満月」です。