20日は「道化の華」と・・・

13日は「ロマネスク」絡みでツルゲーネフと日本文学(特に二葉亭)の繋がりに話が展開し、「父と子」のバザーロフ(ニヒリスト)や「ルージン」(余計者)と「ロマネスク」の息子達との共通性を説いた。
二葉亭とくれば<言文一致体小説>の開発者として知られるが、その達成の一つ「あひびき」がツルゲーネフの「猟人日記」の一部訳であることは聞いたことがあるかも。
実は二葉亭は「父と子」の訳も試みており、「虚無党気質」という表題が擬されていたし、「ルージン」の一部は「うき草」の題で訳されていた。
前者は言うまでもなく「当世書生気質」が意識されていて、ここでも逍遙からの影響が認められる。
太宰作品の3人の息子達が共有する<アンニュイ>を確認するのを忘れたので、来週話す予定。
次は「道化の華」の<メタフィクション>的要素を確認した上で、『晩年』収録の他の作品から同じ方法を探してもらう。
道化の華」の後は、方法としては分かりやすい「地球図」に行く。
坂口安吾「イノチガケ」も読んで、二人の「無頼派作家」の文学的差異を考えておいてもらいたい(難しいけど)。