「イスラム国」補遺  野中章弘  内藤正典

趣旨は変わらないのだけれど、前回この問題を記してから別の新聞記事が見つかったので、文字どおりの「補遺」ということで。
前回より前の朝日新聞記事(1月22日)に、野中章弘さんという早大教授が的確なことを言っていた。
野中さんは、
① 日本の外交力が弱くなっている、日本の外交官が現地の(部族の)実力者とのパイプ作りに励まずに、東京の本省ばかり意識しているという致命的な欠陥を指摘している。
② アメリカのみならずイスラエルの攻撃による中近東の人々が殺されているのに、日本政府は問題にしていない。
③ 「イスラム国」の非道な行為に対して、軍事力でたたいても対症療法に終わるだけだから、事件の背景を根源的に考えなければならない。
など、いたく真っ当なことを主張している。
前回記したような、早稲田には清廉な人の陰でセクハラやパワハラをやっている教員ばかりではない、というところを見せてくれた記事だった。
今日(2月2日)の特集記事でも、内藤正典さんという昔から信頼するイスラムの専門家が、池上彰さん達と一緒に意見を発表していた。
内藤さんはテレビにもよく出る人なので顔に見覚えがある人もいると思うけれど、「イスラム国」の残虐な行為からムスリム全体を凶暴だと誤解しないように戒めている。
人質2人を殺したことも、「イスラム国」の戦略の失敗だというのは共感を覚えた。
彼らの巧緻な情報戦術がハイレベルだと言う向きもあるけれど、ムスリム社会における日本に対する好評価を軽視して殺害したことは、彼らの支持者からも同調されないだろう。
一般民衆の支持を得られなければ支配を続けることは困難になるので、論理の欠落した殺人をくり返しているようでは、「イスラム国」は長くないと思う。
我が(傍点あり)中野信子さんが民放テレビで同様のことを言っていたので驚いたけど、彼女の専門に即して心理的な面からの説明だった(それにしても中野さんは、最近露出し〈出過ぎて〉過ぎて心配)。
安倍晋三がわざわざ中近東にまで出かけて行って、アメリカを始め空爆をしている国々に連帯するようなバカな言動をこの欄でいち早く批判したけれど、最近はその手の批判が続出しているので安心している。
今日はNHKの特集番組で出川さんという記者までが安倍を批判していて驚いたものの、もう1人の三村という人は自民党山本一太並みのことしか言ってなかったので、こいつはNHKのあの反動的会長の方を向いているヤツかなと感じた。
(キリが無いので終ります。)