安吾だけど解説者がマジメすぎてツマラナイことは前に記したけど、第4回(最終回)は町田康がゲストで出ているので見る価値がある。
Eテレの月曜夜10時25分からなんだけど、再放送が水曜朝5時半と午後12時からあるのでどうぞ。
町田が言っているのは目新しいことではなく、今回のテーマの「堕落論」に合わせて「白痴」を読むというよくあるパターンの読み方なんだけれど、内容は面白みが無くても町田を楽しむことができるのが楽しい。
遠慮してか、解説者の大久保喬樹さんがほぼ黙っているので、町田の朗読や発言が楽しめるということ。
そもそもこの二つの作品をくっ付けて読むやり方は、先行するものが腐るほどあるだろうし、安吾の小説を彼のエッセイと関連付けて読むやり方はボクが頭から否定しているもので、研究者ではない町田だから許せるだけの話。
決してマネをしてはいけないのは、安吾論ですぐに「ファルス」とか「ふるさと」と言い出す論にロクなものは無いからだ。
優れた「白知」論を読みたければ、論文集『坂口安吾 復興期の精神』(2013年、双文社)に収録されている関谷一郎「何やらゆかし、安吾と鴎外」という論がおススメ。
これほどテクストを緻密に読んだ論は前代未聞、一時期流行った黒田如水を主人公にした「二流の人」論も同様の水準でスゴイ。
この論文集には大澤真幸を始め、学界のスケバン林淑美やトップランナーの1人・松本和也、他にも安吾研究の推進者である山根龍一や原卓史等が論文を寄せていてお買い得。