メアリー・カサット展

暑いと美術展に出かける気にならないから、カサット展は9月になってからと考えていた。
今日は気温が高い割には湿度が高くなかったので、気持よく横浜まで行けた。
桜木町の駅に降りたらたくさんの記憶が溢れ出てきて・・・
最初は饗庭孝男さんたちの同人誌『季刊 現代文学』の集まりだったかナ、港北区在住の饗庭さんに合わせてその後も中華街に行くことが多かった。
ボクはまだ院生だったけれど、皆さん揃って大学教授なのに気づまりなことは無かった。
早稲田の故・加藤民夫さんが、「同人なのだから「先生」呼ばわりは止めよう」と言ってくれたので、気が楽になったのを覚えている。
などと横浜の思い出をなぞっているとキリが無い、釣りにも何度か行ってるし。

ともあれカサットは観る価値があるのでおススメ、とは言いながら明後日11日までだけど。
前に失敗しているから、入館したらすぐにお目当ての著名な作品をジックリ鑑賞した。
最初から気を入れて観ていると、すぐに疲れてしまうので、肝心な作品を目前にしながら本腰を入れた鑑賞ができなくなるものだ。
土日を避けたお蔭か、空いていたので代表作品を思う存分楽しめた。
複数のテレビ番組で取り上げられていたのを録画してあったけれど、それ等は見ないで行った。
見てから行くと、それ等の作品を確認しに行くだけで終わる感じがするだろうから、皆さんにも手ぶらで観に行くことをおススメします。
文学作品でも同じことで、先入観無しに手ぶらでテクストに向かうことが大事だと言えば、分かってもらえると思う。
油絵もイイけど、ドガに手引きされたパステル画がまた素晴らしい!
素晴らし過ぎてドガなのかカサットなのか不分明なのが弱点に思えるほど。
行ってから思い出したけど、カサットは(ドガの影響だったか?)版画がまたステキ!
こちらはドガも認めているけれど、ドガを超えている。
エッチングやアクアチントやドライポイントその他の手法が明記されているのに、どういう版画手法だったか忘れているのが残念。
それらが判別できていれば作品の水準の高さがもっとよく理解できたのに、とハンセイ。
とにかく最初は下手だったのに、手法を自分のものにしてからの質の高さには驚くばかり(ゴヤもスゴカったけど)。

ドガはもちろん、ピサロやカサット以外の女性印象主義画家の作品も展示されているので、とっても楽しめた。
のみならず初めて観た横浜美術館所蔵作品も充実しているので、お見逃しなく!
片岡毬子や小倉遊亀(ユキ)など女性画家の作品が多いのが特色で数点観ることができたのも収穫だけど、なんと松井冬子の実物が見られるとは思っていなかったので嬉しかった。
「世界の子供たちの〜〜」とかいう1作品だけだったけれど、実物を見ないとダメだと痛感したもンだ。
というのも一面藤の花の中から少女が左方向をみているものと思っていたら、実は藤の花ばかりではなくてスズメバチ(?)が花のように垂れ下がっている絵だったのでビックリ!
ヤッパリ松井冬子は一筋縄ではいかないもンだ。