原節子  石川巧  『月刊読売』

6日付の朝日新聞に、女優・原節子が戦後間もなくの雑誌に面白いエッセーを載せていたという記事があった。
世間の風潮を冷静に観察しながら、自分の意見を明確に記しているので少々驚いた。
ただの美人女優(好みじゃないけど)かと思っていたけれど、想定をはるかに超えたインテリジェンスを感じたものだ。
オバカが大流行の今、原節子が生きていたら絶句するだろうネ。
この記事は現在発売中の『新潮』の新年号に転載されているそうだから、気になる人は立ち読みするといいヨ。
知らない人のために、念の為記しておけば、彼女は世界的に評価されている小津安二郎監督の映画のヒロイン。
いかにも「日本的」な小津映画のイメージだけど、蓮實重彦さんがものすごく高く評価しているのを初めて知った時は奇異な感じだった。
洋モノの権化みたいな蓮實さんが小津映画を楽しめるの? という驚きだった。
その後だったか、小津映画は世界的に評価が高いと知ってまた驚いたものだ。
映画については全くのシロウトだからだろうネ。

それはともかく、この記事の発見者が何と石川巧さんだったので、またまた驚いた。
でもよく考えてみたら、テクストを《読む》だけの脳直しかないボクとはこ異なり、《調べる》ことにも長けている石川さんならではの発見だった。
例えば石川さんは、「『月刊読売』解題・詳細総目次・執筆者索引」(三人社、2014年)の30ページにも及ぶ長い「解題」を書いているけれど、これだけでも彼が地道な調査を続ける視野の広い研究者であることが判るだろう。
優秀な先生に育てられる立教の学生は幸せだネ。