ベルリンの壁  トランプの壁  嘆きの壁  北アイルランドの壁? 「関口知宏のヨーロッパ鉄道旅」

関口宏(と西田サチ子)の息子が出ているBSプレミアムの番組で、ヨーロッパを鉄道で巡るのがある。
ボーッとしているのが取り柄の青年で、歩き方がペンギン風で昔の仲間(マー坊)にソックリなのが愛嬌で笑える。
いつ覚えたのか英会話がそれなりにできているのは驚きだったけれど、絵心もあって絵日記を付けているし・ギターも弾けて作曲もするようだ。
そんなことはどうでもいいのだけれど、番組の主役は訪問先の土地であり住民だ。
他の番組でも取り上げられる国が多いけれど、あまり人が行かない土地の紹介が一味違う感じ。
特に関心を抱いたのは、他の番組ではほとんど取りあげられないスウェーデンを回った時だったけど、現在放映している北アイルランドは別の意味で興味深い。
アイルランド人とイギリス人とが微妙に気を使いながら生きているのが、関口を通して視聴者を考えさせる、軽い番組なんだけど。
殊に両民族が棲み分けをしている様が、夜になると警備会社が両者を隔てる壁の鍵をかけにくる場面でクッキリあぶり出された時は、心底驚いた。
昼間タクシーの運転手が強調していたように、両者が棲み分けている方が平和を保てるのだということを、壁という形で見せられると絶望していいのか・希望を見出せばいいのか分からなくなる。
若い人は知らないだろうけど、ボク等が学生時代にはまだ「アイルランド紛争」が盛んで、北アイルランドの復帰を求めてイギリスと闘う伝統的な集団のテロ活動が活発で、ロンドンの有名なデパートで爆弾闘争などをやっていた。
闘争から離れた息子に対して母親が縁切りを宣言したりする場面をテレビで見て、ビックリしたこともある。
カトリックアイルランドプロテスタントイギリス国教会)との宗教戦争の面もあるけれど、北アイルランドを収奪して移民したイギリス人との熾烈な闘いだった。
現在の難民と何ら変わらない難民となってアメリカに移住したアイルランド人が多いのも、イギリスに苛められたためであり、ケネディ一族などを輩出したわけだ。
昨年だったか、スコットランド独立をめぐる選挙があったのも、イギリスらしいというか人間の悲しいサガと言うべきか。
極めて嫌悪すべきことながら歴史はくり返しているのは明らかで、人類が飛びぬけて愚かな生物であるのはザンネンというばかりで・・・
古くはユダヤ人の嘆きの壁から、今日のトランプの壁まで、人類は壁から逃れられないのかね。