辺見庸  「1937」

NHK・Eテレの番組「こころの時代」というのは、内容に興味があれば観るのだけれど、前もってその内容が分からないので困る。
ずいぶん前のことだけど、旧約聖書の解説を6回(?)連続したことがあり、これは面白かった(ビデオに録画)。
先週土曜の午後1時から辺見庸が出ていたので見入ってしまった。
『1★9★3★7』(イクミナとも読むらしい)という文庫になった本に重なる内容らしい、とっても興味深いことを指摘していた。
関東大震災以降の日本の進み方が、現在の日本の状況に似ていると言うのだ。
1923年の大震災、25年の普通選挙法と共に治安維持法成立という延長上で戦争へのめり込んだ成り行きが、
2011年の東関東地震、13年の特定秘密保護法へと進み、続いて14年の武器平和三原則の見直し・防衛装備移転三原則閣議決定、15年の集団的自衛権行使実現・安全保障関連法案可決
へと展開していくのと重なるのだ、と言う。
震災つながりというと俄かに信じがたいけれど、確かに時代が悪い方向へ進んでいる危惧としては重なっていて不気味だ。
安倍晋三の「右(翼)へならえ!」の音頭に乗って、籠池が森友学園の園児に教育勅語を暗誦させたり・安倍晋三を称賛させたりしているのも、この不気味さと別のものではない。
韓国の朴・崔心中にならい、安倍が籠池と心中して失脚してくれれば、この上なく幸せで安心なのだけれどナ〜。
講演会の録画で辺見は中国大陸における日本軍の暴挙を、実際に見聞した堀田善衛が「時間」で・武田泰淳が「汝の母を!」(知らなかった)という作品で描いていることを紹介していたけれど、録画が途中で切れていたので再放送を待っている。

@ 以前、柄谷行人が昭和45年と明治45年の状況を重ねて論じたことがあったけれど、ピンと来なかったのは確か。
  この45年の重ね方よりは辺見の重ね方の方が説得力を感じている。
  盧溝橋事件勃発の1937年を踏まえて、辺見の著書は「征(い)く皆」(皆が戦争に征く)とも読むそうだけれど、時代の動向をみるとノンビリ安心していられないナ。