【読む】望月哲男訳「アンナ・カレーニナ」・「死の家の記録」(ドストエフスキー)その他

 学生時代の友人である望月哲男さんから、できたての新訳「戦争と平和 2」(全6巻、光文社)をいただいたことは記したネ。礼状を出したら、いきなり同氏の新訳文庫が8冊ほど届いてビックリしたヨ。すぐにも読みたい気持ながらも、それがやりにくい状況を望月クンに伝えたいよ。先日、龍之介論を頂戴した伊藤一郎さんにブログ記事をコピペして礼状代りに送ったら、「昭和文学の論文を読み終わったら、龍之介論も読んで下さい」というメールが来て苦笑したヨ。

 ともあれボクが読んだことないのを見抜いたように、「アンナ・カレーニナ」(全4巻)や「死の家の記録」、それとチョッとだけ読んだことのあるトルストイ「イワン・イリイッチの死/クロイツェル・ソナタ」とプーシキンスペードの女王/ベールキン物語」を一気に送ってくれたのだネ。よくもヴァラエティに富んだ小説を訳したものだヨ、バフチンの「ドストエフスキー詩学」(ちくま文庫)まで訳した人だからネ。実は「ベールキン物語」は出した時にすぐ贈ってくれたのだけど、忘れているようだネ。この作品は太宰の「桜桃」の末尾のネタになっているので(桜桃のタネを吐き出す場面ネ、ネタとタネはもちろんシャレたのだヨ)、「桜桃」論(『シドク 漱石から太宰まで』収録)を書いた時に読んであったのだナ。その時は岩波文庫で読んだのだけど、望月さんの新訳を読んだら別の作品のように新鮮だったので、岩波の方はサトマンに上げてしまったヨ。「戦争と平和」も「アンナ・カレーニナ」も、トルストイは敬遠してたけど、望月訳で読めるようになったのだから、自家にある旧訳で読んでなくて良かったヨ。皆さんもこれから読むなら望月哲男訳がおススメです!

 

 松本和也さんの『太平洋戦争開戦後の文学場』(神奈川大学出版会)を贈られ、自分がやり残した気分のものを松本さんが徹底して追求してくれているのですぐに読み始めたのはイイけれど、当初は種々教えてもらえるので引き込まれたものの、松本さんらしい緻密さに疲れてきたのだネ。ボクの得意な論じ方である、作品・作家に閉じて追求することがないので(読んでいた本書の第Ⅱ部が、大東亜文学者大会を論じているから当然なんだけど)飽きてしまったのだナ。

 そこに注文してあった同氏の『日中戦争開戦後の文学場』(同)が届いたら、全9章がほぼ個別の作品を扱っているので中で一番好きな井伏鱒二論をすぐ読み始めたヨ。「多甚古村」論なんだけど、驚いたのはボクが完読してなかったことネ。井伏はゼミで取り上げたことが数回あるけど、この作品は長めなのでテキストとして採用しなかったのだネ。改めて全集を取り出してきたら、面白いこと限りなし。珍しく松本さんも論じるのに往生している印象だったけど、長くなったので(だいぶ長くなりそうなので)取りあえずはこの辺で。続きは明日ネ。