【読む・観る】ゴッホ  小林秀雄  三好十郎「炎の人」

 1度ならず記したけど、高階秀爾の『ゴッホの眼』(青土社、1984年)を読み終えた。本を完読することの少ないボクとしては珍しいこと、それだけ飽きることなく面白い本だったということだネ。小林秀雄の「ゴッホの手紙」の退屈さと比べるまでもない。当時日本語に訳されていなかったゴッホの書簡集を、小林が選びながら翻訳したのでそれなりの価値があったものの、読み物としてはただツマラナイ。その点、ゴッホの原画を見歩いた経験のみならず、たくさんの文献も読み抜いた上でゴッホの《作品》を論じた高階の面白さは、《人間》ゴッホを論じて《作品》を論じきれていない小林の視野の狭さ(良く言えば深さにつながるものの)を反照している。改めてくり返せば、『近代絵画』を含めて小林秀雄の美術論は今では古臭いだけでそれ自体の価値は無く、小林に興味のある人ににとっては《小林を読む》という意味では価値があるということになるだろう。

 

 先般、月に1度のペースで国分寺の病院へ血圧とぜん息の薬をもらいに行く時に寄る古書店「七七舎」で、ゴッホ展(1996~7年)のカタログを100円でゲットした。他の古書店なら2000円以上するだろうし、その金額でも買ったろうネ。なにしろゴッホ作品を収蔵しているクレラー=ミュラー美術館の絵画の写真と解説がたくさん載っているからネ、それも初期の暗い色調の作品の数がスゴイ! 有名な「馬鈴薯を食べる人たち」に至るまでの、我々が知るゴッホになる前のゴッホ作品が収録されているので貴重な画集だヨ。小林に見せてやりたかったネ。

 

 ゴッホを主人公にした文学作品としては、三好十郎「炎の人」が有名で2・3ケ月前にBSプレミアムで放送したネ(ブログに書いたかどうか・・・)。昔、滝沢修ゴッホを演じたものをビデオ(白黒)に録画してあるけど、今回は当然カラーだからゴッホの情人役の女性の裸がとてもキレイだったヨ、熱演だったネ(女優名は知らない)。ゴッホの人間像を知るには手っ取り早い文学作品と言えるからおススメだネ。三好十郎作品はこの10年ほどよく上演されているので嬉しいかぎりで、先般も代表作「斬られの仙太」の舞台が放映されていたネ。2年ほど前だったかはストリッパーの一人舞台の上演も放映されたことは、ブログに書いた記憶がある(録画は消してしまったけど、「炎の人」と比べて露出が少ないのが理由ではない)。