【読む】七七舎(古書店)の収穫  フローベル特集号とセザンヌ特集号

 先日記した七七舎の収穫を、さかのぼれば以下の2冊の雑誌があった。

『文学』フローベル特集号(1988・12)

ユリイカセザンヌ特集号(1996・9)

 前者には蓮實重彦・中山眞彦(『現代文学』同人として親しくしていただいたスゴイ人)やブルデュージュネットなどの論文が10本以上並んでいる。それぞれそそられるけれど、今フローベルを読んでいる余裕はないし、そもそも「ボヴァリー夫人」も「感情教育」も完読できていないテイタラクだ。ドイツ文学ほどでなくても、フランス文学もドストエフスキー中心のロシア文学のようには肌が合わないということかな。

 ともあれ特集の最後にある蓮實重彦・小倉孝誠両人の「フローベル研究と現状」の一部だけをツマミ読みしたけれど、そこで紹介されている錚々(そうそう)たる批評家・研究者が何故フローベルをそんなに高く評価するのかは伝わってこなかったネ。

 

 セザンヌは先般までデカい画集を横において小林秀雄「近代絵画」などを再読していたけれど、20本ほど並んでいる論文どれをとっても小林の論より面白そうだ。こちらも深入りする余裕はないので、小林康夫松浦寿夫(美術史家)との対談だけ読んで強い刺激を受けた。小林さんは何についても大風呂敷を広げる人であり、松浦さんもそれに合わせて広げるばかりなので話が「行方も知らぬ」ばかりでまとまらない。でも細部の議論はたくさんのヒントにあふれていてとても面白かったネ。