【読む】柄谷行人以外の読書  ヴァージニア・ウルフ  「走れウサギ」  歴史書

 先般、現在読んでいる本の名を並べようと思いながら、柄谷の1冊だけで1000字を超えてしまって他の本について記すことができなかった。

 柄谷については、このところ『力と交換様式』『世界史の構造』という原理的な著書を出しているけれどこの手のものは関心がない。ボクが読んでいるのは1990年刊の『終焉をめぐって』で、柄谷も「あとがき」で言うように「文芸評論」だから楽しめているのだネ。それにしても柄谷らしい難しさをともなうので、分からないことが出てくると知っていそうな仲間に訊くことにしている。巻頭論文の「1970年=昭和四十五年」で

 《むろん明治維新そのものも「再現」である。つまり、それは「王政復古」だった。フランス革命と同様に、明治維新には、古代の意匠が動員された。》(39ページ)

とあるけれど、日本のことは分かるものの「フランスと同様に」と言われても「何言ってんのか分かんない」(サンドウィッチマンの冨澤の名ゼリフ)ので、フランスものの質問はいつも通り西村友樹雄さんにお願いした。自分の知識だけでなく調べたことも含めて懇切丁寧に種々教えてくれたヨ。

 

 最近読み続けている他の本はアウエルバッハ『ミメーシス』の最終章「茶色の靴下」で、ヴァージニア・ウルフ灯台」論だネ。この大著は昔から少しずつ読んできたけど、ありがたいことに全20章それぞれ別の作品を論じているので読みたい章をツマミ食いしているのだネ。ウルフは以前記したように「ウェイ夫人」を読んでいたけれど、3分の2くらいの所で飽きたので放置してあるヨ。《意識の流れ》を体験しようとしたけど、そういう書法自体に面白さを感じずにむしろ読みにくさばかり目立ったネ。

 小説は先般記したとおり、アプダイク「走れウサギ」を少しずつ読み進めている。別にウサギ年だからというわけじゃなくて、読書に倦(う)んで本棚から新鮮さを求めて手に取ったのが機縁だネ。そのせいかヒグラシゼミがらみで用意したユウミリ(柳美里)の方は放置したままだ。

 

 ごく最近は神野志(こうのし)隆光「古事記日本書紀」(講談社現代新書)をチョッとずつ。昔からの関心だけど、この書は詳しすぎてあまり楽しくないネ。「古事記」や「日本書紀」そのものも身近に置いてあるものの、なかなか手が伸びないネ。呉座勇一さんのベストセラー「応仁の乱」は面白いけど、熱中しすぎないように距離を置いている。中央公論者などの『日本の歴史』シリーズは、ほぼ読み終わった鎌倉時代を中心に摂関時代や下剋上の時代などをツマミ読みしている。歴史は面白くていけない。

 (また1000字を超えてしまったので、またネ。)