【観る】町田市立国際版画美術館  ゴヤの反戦版画集  小倉遊亀

 「観る」コーナーだけでないのだけれど、ブログに記して紹介・推奨しようとしながらも書けないうちに終ってしまうものが少なくない。暑さのせいで常にダルイせいだろうけど、思い付いてもなかなか実行に移せないのはトシのせいだけじゃないネ。腕のシビレはだいぶ治ってきたけれど、ぜん息の吸入器の数値は身体の衰弱を端的に表したいるようで、基準値の600もクリアできないくらい小さい(前回以前までは軽量不可能という800以上まで行ったのに)。ブログを更新するには

 

 ともあれ紹介できずに残念だったのは町田市立国際美術館で開催されていた「出来事との距離—-描かれたニュース・戦争・日常」展だ(17日に終ったけど)。当館は今までに3回は行っているけど、とても良い企画をやるから、いつも注目していた方がイイね。今回も当館が持っているゴヤのシリーズが並んでいたようだけど、ナポレオン戦争で大被害を受けたスペインの民衆たちの姿がリアルに描かれているので衝撃を受けるヨ(以前観た時の感想)。ゴヤにはナポレオンに抗した市民たちが虐殺された有名な油絵もあるけど、版画集は数が多いのでナポレオン軍の残虐ぶりがズッシリ伝わってくるヨ。以前何度か紹介した版画家・浜田知明も展示されていたそうなので実物を観たかったけど、軍の最下層の地位である二等兵(特に新兵)の強いられた悲惨な姿が表現されている(ボクは分厚い作品集を持っているけど、本物から得られるオーラには及ばないよネ)。

 今回はウクライナにおける戦争を契機に企画されたそうだけど、テーマに即した多様な作品が展示されたいたようで今さらながら観たかったネ。ゴヤの版画など当館にはたくさんの作品が保有されているのでいつかまた観るチャンスが来るだろうから、その時に忘れずにチャンスをつかんでネ。

 

 これは美術館展示の話じゃないのだけれど、朝日新聞に月一のペースで連載されている美術評論家高階秀爾の「美の季想」が「夏の風景」というテーマでエッセイを寄せている(7月19日)。印象派の女性画家であるメアリー・カサットの母子像と対比しながら小倉遊亀(ゆき)の戦後の傑作「径」を紙上に提示している。是非「径」をはじめとした小倉作品を検索しても観てもらいたい。母子のほのぼのとした味わいをかもし出している「径」に至るまで、実は戦前の「湯女1」などのように斬新な試みをしているのが分かると思う。湯舟の中の裸女を囲む浴場のタイルのゆがみを描いたところがスゴイ! 翌年描かれた「湯所2」は打って変わって落ち着いた構図の作品になっているのは、30歳ほど年上の70代の僧侶と結婚したせいかもネ。

 結婚生活の面白さはテレビ番組「美の巨人」の録画で楽しんだけど、この僧侶は山岡鉄舟の弟子だったというのは検索して知ったヨ。鉄舟は戊辰戦争時に活躍した武人で、勝海舟の下で働いて江戸を火の海になるのを防いだ人だネ。世の中いろいろつながっているものだヨ、面白いネ。

 ともあれ目の前の生活からチョッとズレて美術や音楽に触れることが大事だヨ。定年退職したボクはそれ等につかり過ぎているかもしれないけどサ。