【見る】藤田嗣治②  戦争画集

 昨日の記事で記すつもりでいたのに、長くなったら付し忘れてしまった。

 藤田(ツグハル以外にもツグジとも読むそうだ)は一身を賭けて戦争画を描いたのだから、敗戦ショックはさぞかし強烈だったろうと察せられる。もちろん一般国民も他の画家も敗戦の衝撃に打ちのめされたのではあるものの、問題は藤田以外の画家の卑劣さだ。戦争画を描いたために戦争責任を問われたら、藤田に矢面(やおもて)に立ってもらい自分たちの責任を薄めようとしたというのだから呆れたものだ。「アッツ島玉砕」はじめ藤田の作品が力作であったために目立った存在だった違いないけれど、己に代って責任を引き受けてもらおうというのだから情けないヤカラだネ。

 藤田にはエッセイを集めた文庫(岩波だったかな)があるけど、読むほどの関心はないし読んだ高橋源一郎が番組でヒドイ文章だと言っていた通りのものなンだろネ。絵も文書もか(書・描)ける人は稀だろネ、高村光太郎の名がすぐに浮かぶけど。ともあれ藤田自身の言葉は知られてないものの、戦後すぐに改めて日本を捨ててフランスに戻ったという行動に藤田の無念さがにじんでいるネ。戦中は国のために共に戦争画を描いたにもかかわらず、いざ敗戦と決まれば保身のために仲間(藤田)を売ろうとしたクソ野郎(実名は知らないけど)などと、同じ国で生きていくのがバカバカしくなったのは当然だネ。その後フランスの国籍を獲った藤田は洗礼名のレオナルド・藤田を名乗ったとのこと。もちろん死ぬまで日本などという所を訪れることはなかったヨ。

 ちなみに戦争画に関心がある人は、戦争画集というのも出ているから見るとイイね。ボクも持っているけど、著名な画家はじめたくさん残っている中でやはり「アッツ島玉砕」はひと際迫力があるネ。

 

 「画家たちの「戦争」」(新潮社、2010年、1500円)