【観る】コンスタブル展  ターナーの作品もあり  向井潤吉と対照しつつ

 昨日(金曜なので終了時間が8時まで)、以前記したコンスタブル展に行ってきた。ブログに書いたら、マチルダさんが招待券を送ってくれたのでありがたかった。マチルダさんはファミレスのクーポン券も出してくれたりで、ドラエモンみたいだネ、感謝!

 結論的な感想を先に記しておけば、あまり日本では観る機会がない画家なので、好きな人は観に行くべきだろうけど、期待するほどたくさんの名画が来ているわけではないというところかな。よく見かける「干し草車」は来ていないけど、それに類する題材・レベルのものは数点観ることはできる。どれも似たような作品に見えるのは民家画家の限界だろうけど、朝日新聞(3月30日)に掲載された「ウォータールー橋の開通式」のような例外もあって本展の目玉になっている。新聞の解説にあるとおり「荒々しい筆触」であるに違いないけれど、この作品のような大画面ではなくても「荒々しい筆致」で描かれているものもあり、筆致の点ではヴァライティはある。個人的には荒々しい筆使いの方が絵画として評価できると考えるけど、コンスタブルの風景画の基本は遠近にかかわらず細かいところまで描きこまれていて、それが芸術としてはツマラナイ原因ではないかと思う。

 「ウォータールー橋~」は大画面であり・単なる風景画ではないという点で例外であり、色彩感は美しいものの絵としてはレベルの高いものとは思えない(距離をとって全体を観るのが基本だけれど、傍に寄って観ると絵の具の厚塗りの筆致が楽しめる)。この作品とターナーの「ヘレヴーツリュイスから出版するユトレヒトシティ64号」が当時から競合し・比較されていたそうだけれど、このターナーも面白いとも思えない。ターナーにはもっと素晴らしい作品があるし、風景画に限定されない多彩な面も楽しめる画家だ。走る機関車のスピードを描こうとチャレンジしたものなど未来派の先を行くようで、確かに価値を感じるネ(展示されてないけど)。

 

 個人的にはターナーとの比較などより、向井潤吉の日本民家の絵と対照するとコンスタブルを位置づけしやすくなると思う。潤吉はコンスタブルほど人の姿を描きこまずに、ほとんどが民家を中心化しつつ周囲の植物を細かく描いている。稀に街道を中心に時雨下の両側の宿を描いた絵画らしいもの(美術作品)もあるものの、ほとんどが土産屋で売られる民家や風景を描いたものをレベルアップしたようなものという評価は免れ難いのではないか。美術の専門家たちからは評価されなくてもボクは好きだけどネ。

 コンスタブルの息子ライオネルの作品が最後に1点展示されていたけど、これが潤吉を思わせるように感じたナ。芸術性がほとんど感じられないもので、これと比べれば潤吉の絵には作品らしさを感じることができるのは間違いない。風景画、というよりも美術一般の評価は難しいもンだネ。