【読む】(続き)英語にレイプされる日本語・沖縄語  外間守善先生から聞いた話

 書ききれなかったことを付しておきたい。

 「カクテル・パーティー」の語り手の日本語が英語に犯されているのではないかと記したけど、ボクの潜在意識には以下のエピソードがあったかもしれない。院生時代に非常勤講師で来ていた「おもろさうし」(「さうし」は草紙)研究の権威・外間守善(ほかましゅぜん)先生から聞いた話。先生は沖縄出身の方で、一緒に受講していた仲間の耳には「ほかま」が「おかま」と聞こえるそうで、「私は外間です」が「私はオカマです」になるのでいつもニヤニヤしていたものだ。もちろん先生はオカマなどでは無かったヨ。「おもろさうし」は沖縄の万葉集に当たるもので、先生は歴代の巫女が暗唱していた意味不明だった歌を、その場で読み解いて巫女たちを驚かせたという御仁。

 ともあれ戦後間もない頃に先生が訪れた沖縄のある土地で耳にした会話、老夫婦が交わした何気ない言葉が全部英語だったのでビックリしたという話。記憶に残るほど特別な会話ではなかったので復元できないものの、「あんた、どこへ行くの?」「〇〇へ行ってくる」程度の簡単な言葉のやり取りながら、それが日本語(ヤマト)でも沖縄語(ウチナンチュ)でもない英語だったので衝撃だったという。まさに土地のみならず言葉までが英語(アメリカ)に犯されている状況に腰が抜けたという。

 スゴイ話だネ。