【読む】『繍』第36号

 毎号贈っていただいている『繍』の最新号を落掌した。これまでとは異なりカタカナ名(中韓の名前も少ない)が見当たらないのは、留学生の執筆が少なくなったということか。そのせいかどうかは不明ながらも、個人的には親しみやすい作家についての論が多い気がする。漱石・藤村・龍之介・寅彦・賢治・夢久・順二・三島・安岡・善衛とヴァライティに富んでいるし、「ドクラ・マグラ」も含めてボクが読んだことがあったり・関心がある作品がほとんどなのは意外なくらいで(昔から嫌いな藤村だけは例外)大歓迎だネ。

 事情があって林芙美子作品や論文を読んでいたところに、紹介したばかりの関谷由美子さんの『少女たちの〈居場所〉』(鳥影社)所収の「浮雲」論を拝読したら、ネクロフィリアという読み方に腰が抜けるほど驚いて同じ観点の「三四郎」論(『〈磁場〉の漱石』(翰林書房、2013年)まで遡って読んでいる最中なので、本号の「三四郎」論がチョと気になるかな。名実共にワセダだと思っているので、どの論を読んでも後悔することはないと思うヨ。