【聴く】フジコ・ヘミング(ピアニスト)の実力(名前訂正)

 久ぶりに【聴く】コーナーを書くヨ(ネタはいくらでもあるけど、書いている余裕がないのだナ)。

 先般90歳過ぎても現役のピアニストとして活躍していたフジコ・へミングが亡くなった。テレビでも新聞でも取り上げられたから、ニュースとしては知っている人が多いと思う。問題は彼女のピアニストとしての実力の程だ。生前から気になっていたので、学生時代にオケのフルーティストとして活躍していた近代文学研究者である、後輩の故・杉本優クンに訊いたことはある。彼はピアノの巧拙は分からないと応えたので参考にならなかったネ。

 ボクが気になっていたのは、日本人の多くはその道の専門的な能力よりもその人の人生上の労苦を評価してしまいがちだからだ。例えば有名なチェリストであるマイスキーだけど、個人的な意見ながら(ピアノよりはチェロの方が解ると思っているので)彼のチェリストとしての評価は、チェロの腕前以上にソ連時代の抑圧に耐えたことによっている気がしているのだネ。ソ連の抑圧的な社会の中で反抗的(?)だったマイスキーは、狂人扱いされて入院させられたそうだ。そういうエピソードに対する同情がマイスキーの評判を増幅したという要素は、無いとは言えないだろうネ。

 ボクの経験でもラジオやテレビで聴いたマイスキーの演奏で、感動したことはない。すくなくともバッハの無伴奏チェロ組曲がそうで、マイスキー自身も最初に録音したのを耳にして別人の演奏かと反省して(?)録音し直したそうだ。学大のオケでチェロを弾いていたケイちゃん(姓は山﨑だったかな)に好きなチェリストを尋ねたらヨー・ヨー・マだと聞いてえらく納得したことがある。その後ヨー・マの演奏を聴いたら素晴らしい音色だったので、改めて感心したものだ。

 

 混同して欲しくないから付しておくけど、挫折を乗り超えた人間の表現は一皮むけるというのと上記のことは別だからネ。一流のピアニストの中には途中で指をケガするなどで、長期間弾けなかった状態からカムバックして以前にも増して評価されるという例があるネ。マリオ・ジョアン・ピリシュが好例で、いきなりモーツァルトの名演奏が話題になった時には休業明けとは知らなかったし、他にもペライヤもケガで休業期間があったと思うヨ。

 もちろん音楽界に限らず、スポーツでも挫折後に急成長するような例は少なくないだろう。女子競泳の池江瑠花子が目立つ例で、白血病(?)かで長期間休養を強いられた時にボクはブログで「この挫折でこの子は選手としても人間としてもより大きな存在になるだろう」と記した記憶があるけど、そのとおりになっていると思う。相撲でも今は休場中ながら、照ノ富士も朝乃山も幕下以下の地位に落ちながらも復帰して活躍しているわけだしネ。野球の方は例が多すぎて書ききれないナ、女性問題で西武をクビになってソフトバンクの首位固めに貢献している山川はこの例に入れたくないけどネ。孫正義ソフトバンクのせいか、クロ歴史を持った黒豚ヤマカワといった印象だネ。

 

(註) フジコ・フレミングだとばかり思っていたけど、正しくはヘミングでした。

 畏れ多くもヘイカからのご指摘を受けて訂正しました。