公房の最後は「時の崖」

公房「なわ」ですが、こんな難しいテクストをよくも選んだものだと、レポの意欲を買いましたがその結果は?
落合さんは「穢れ」の概念規定がハマらなかったので、そこを突かれたのも当然でした。
「姉妹」に「神」のような超越性を感じたようですが、確かに海(川)からやってきた姉妹は沖縄のニライカナイ(神)が海から来る(「おもろそうし」)のと重なって興味深いです。
突かれた割には頑張って闘っていた姿が歴戦の勇士を思わせ、自主ゼミで鍛えているのだナと感じました。
山崎さんのは自分なりに見事に読み切っていて感心しましたが、姉妹と海についての読みがイマイチ不足していたのが残念でした。
読みにくいテクストなので、先週までのようには全体としての議論が盛り上がらなかったのも当然だったかも。
姉妹による「父親殺し」の象徴的な意味と、現実的な殺しの意味の差異をしっかり押さえておかないと混乱しがちになります。
現実の父は殺せても、象徴としての父は殺せない、というのは誰かの言葉にあったような気がしますが、トシのせいで「混乱」しています。
来週は「時の崖」で語り口が議論をそそります。