昔、メイという優れものがいた。

昔(20年くらい前)、メイという優れものがいた。
近代文学と社会」の授業では必ず遅刻してきて、それもバタバタとワザとのように足音高く入ってきたものだ。
コノヤロウ! と思って難しい質問をしてイジメようと思っても、いつも簡単に答えてしまったもの。
昭和ゼミに来るようになったので、顔が真ん丸なところが「となりのトトロ」のメイちゃんにそっくりなのでメイと名付けた。
トトロはその腹の大きさから嶋中先生にして、皆で二人がからむ姿を想像して楽しんだ。
嶋中先生は陰で「関谷さんは私のことをトトロと呼んでいるんですヨ。」と嬉しそうに語っていたそうだ。
このメイが今の助手の神村さんである。(旧姓は長縄で、ダンナはお縄を頂戴したことになる。)
代わって今のメイの先日の堕落ぶりは目に余る。
2年生の演習で、2回連続して欠席して久しぶりに現れたこのメイは授業の最初からカップ麺を食べていたが、ボクの授業は講義以外は延長がフツーなので飲食を許している。
食べ終わったメイは、テキストを開く様子も見せず、間もなく本格的に居眠りを始めた。
例によって当たり障りなく声を掛けて注意を促したつもりだったが、全く効果なくまた熟睡が始まった。
20人くらいのゼミだから、誰が何をしているか、集中しているか否かは見通せる(50人の講義でも可)。
再び声を掛けたら「テキストは忘れてきた」とのことだが、たぶん買ってもない。
推察のとおり自主ゼミのレポーターになり、そのためだけでイッパイイッパイで他に手が回らない状態。
自主ゼミに対する「情熱」は伝わるが、言うまでもなく本末転倒!
授業のために自主ゼミの手を抜くなら分かるが、メイがやってるのはその反対で許し難い。
おそらくメイだけではなく、少なからぬ学生が同じ過ちを犯しているはず。
院生も同然のオバカがいて、単位互換制度を適用している東女のハカセ(近藤先生)から「自主ゼミの準備が忙しいので休むという院生がいる!」と苦情を受けたことがある。
早くから気付きながらも注意をしなかったのが悔やまれたが、言うことを聞いてその後はオバカなことは目立たないという感想をいただいた。
メイが属しているゼミで授業軽視の傾向が目立つようで、ボクから頼んで顧問を続けてもらっている先生に対しても申し訳ない。
この先生は学生を信頼して「放牧」することをモットーにしているけれど、今どきの学生はその精神と信頼に応えることができずに、甘えて好き勝手をやっているようにしか見えない。
「放牧」に応えるためには高度な倫理と能力を必要とすると思うが、今の学生はその両方が欠けていてジコチュウを通すために「放牧」を悪用しているだけのようだ。
このゼミに限らず、自主ゼミ本位に考えがちなオバカな学生は広く存在するように見えるので、今後は見過ごさずに何らかの手を打たねばならないと考えている。
授業を軽視するようなゼミ員は辞めさせるとか、そのようなゼミ員が目立つゼミからは顧問を断るとか、強固な姿勢で臨むように国語講座として対処したい。
ひとり今のメイだけの問題ではない、ザンネンながら。