乱歩「赤い部屋」

師範代のクリマン(栗田クン本人によると、「クリエイティヴ・マン」の略で流通している略語ながら、あまり良い意味ではないそうな)の専攻する乱歩を、乱歩にピッタリのアイ〜ンとユっコリンが発表。
これに久々の西村クン(一橋大博士課程・フランス文学専攻)が加わったのだから、盛り上がらないわけがない。
探偵小説や大衆小説の類は、どう論じたらいいのかサッパリ分からないのだけれど、レポの二人は中二病という概念(アイ)や芝居(ユッコ)という捉え方でオリジナルな読みを出していたので感心するばかり。
もちろんレポ叩きは昭和ゼミのお家芸なので、二人ともシッカリ叩かれていたけどそれ以上に反撃していたのにも感心の累乗で、二人の将来が楽しみ。
この手の文学(というより芸術)が好きというアイ〜ン、文学論を戦わせるのが大好きというユッコリンの{好き」の強度には十分期待できる。
クリマンが珍しく自説を詳しく紹介してくれたのは意外だったけれど、テクストを時代に置き直してその(特にプロ文との)関連性を考察するという(菅本康之のスゲエ論を想起させる)刺激的な読み方にはボクのみならず皆が唖然〜。
ユっコリンが思わず「テクストに閉じて論じる限界」を口走ってしまうくらいの衝撃を覚えたのも頷ける。
しかしクリマンくらいの読みができるようになるには、多くの時間と修練が必要なので、いきなりテクスト離れのマネしても成果は得られず、却ってグズグズ或いはグジャグジャの論にならない論しか書けない。
今のうちはテクストそのものを論じる基礎的な能力を養うのが肝心で、テクストの外の広い世界を捉えようと試みるのは基礎ができてからのハナシ。
時々「冒険」して先輩達から叩かれるのもベンキョウにはなるけれど(今回の中二病もその例か)、問題は基礎的な能力でこれなしには他者を説得できる論は書けない。
イイ年をしながらも(基礎ができないまま)、いつまでもテクスト離れしかできずにバカにされ続けているヤカラはみっともないだけ。
テクストに出てくるアンニュイ(「退屈病」)とボードレール悪の華」等との関連を質問したら、西村クンが後から<これぞ倦怠>というフレーズは「悪の華」冒頭の「読者へ」の一節だと教えてくれた。
アフターでは西村クンお持たせの桜桃(前週の井上クンの桜桃に続く幸せ!)に舌鼓を打ったのみならず、ユカチンからの白ワイン・ヨリちゃんからの赤ワイン・リンサイお持たせの赤ワインで深夜まで盛り上がった。
延長したのは渡仏予定の西村クンとの暫しの別れを皆で惜しんだから。
お蔭で土曜の学大学会に続いて、二日酔いと血圧上昇!