22日は井伏鱒二「鯉」

記すのが遅れて申し訳ない。
井伏文学はテクストが分かりやすいようでいながら、結構奥が深い、或いは深く読ませてくれるという印象を持っている。
別の言い方をすれば、思いのほか難しいかも。
レポがベテランのサッコ君と、切れ者の称号である「ハセガワ」の別名を持つミズノ君という上級の実力者二人だから、2年生は期待しつつも丸め込まれないように、鋭い突っ込みができるよう用意を怠らないように!

多忙過ぎて、このところ前回の感想を記すヒマが無かったけど、「待つ」のマンジュさんはイイ所まで考えを煮詰めながらも、あと一歩で自分がつかめ切れなかった。
じつはこの「一歩」が結構難しいので、人は自分のこと(考え)が自明のようでいながら、実は分かってないということ。
マンジュさんは、ボクの誘導で自分(の考え)に行き着いたと受け止めたかもしれないけれど、ひょっとしたらボクの読みに引き込まれたのかもしれないから、改めて自分をよ〜く読み直した方がイイと思う。
リナさんは、同じ女性の一人語りだからというので「斜陽」を不用意に取り込んでしまったのが敗因。
「待つ」と「女生徒」は語り手の少女が似ているので取り込める可能性があるが、「斜陽」のかず子は成熟した女なので同列にしない方が無難。
他のテクストとの関連をも読みに取り込もうとするインターテクスチュアリティという方法もあるけれど、テクスト同士の境界に十分な自覚を保持していないと、論理の展開がグジャグジャになるから要注意!