石原慎太郎、死ぬべし!  「異邦人」論争

買ってきたばかりの『三島由紀夫研究』⑦「近代能楽集」特集号を読みながら広島・巨人戦をテレビ観戦していたけれど、コマーシャルになると「路線バスの旅」宮古島編を見ていた。
マエケンと菅野(甥っ子に似ているので巨人入りを許している)の投げ合いはこれまで1対0の試合で1勝1敗という名勝負で、これぞプロ野球だから皆さんも見なさい!
今日も1−0で広島リードだったのが、7回になって巨人が逆転する展開となってガッカリしたので宮古島の番組を見る方に力点が移った。
沖縄には過去2度行ったけど、最初は本島だけで最終日前夜は琉球大学のイクオちゃん(立大院修了)と遅くまで呑み、そのお蔭で翌日は夜まで二日酔いで観光できなかった。
2度目は島嶼の旅だったけれど、イクオちゃんの出身地である宮古島には行ってないのでテレビ番組で楽しんだ(旅人はスピード・スケートの清水さん)。
見終わったら9時から動物番組「アフリカの夜」を見ようと思っていたけれど(もちろん読みながら、あるいはブログを書きながら)、BSフジで8時から岡本太郎の特集をやっているようなので途中から見始めた。
シンタロー(石原慎太郎)の馬鹿がコメンテーターなので不愉快で堪らないのだけれど、太郎に詳しい美術評論家のコメントが聴きたいので、そこは我慢である。
中国が「魚釣島」と呼ぶ所属が曖昧な島をむりやり日本に占拠させたために、それまで不明確にしておいたお蔭で顕在化せずに済んでいた日中間を悪化させてしまったシンタローのアホぶりはブログでも批判したとおり。
他人(ひと)の死を望むことは無いけれど、シンタローとナベツネ(読売新聞のボス)だけは早く死んで、これ以上日本の将来に禍根を残さないで欲しいものだ。
それはともあれ岡本太郎だった。
あまり好きなタイプでもないし、彼の作品も評価できなかったけれど、万博の際には大正知識人のような桑原武夫と対決し、「進歩」を主張する桑原の時代遅れの平凡さを堂々と批判していたのは評価できた(『朝日ジャーナル』誌上の対談)。
この番組は「昭和70年の肖像」という特集で、先週の三島由紀夫もそのシリーズだというのは今日分かった。
(来週も見ようかな、誰の特集だろ?)
シンタローのボケぶりは相変わらずで、自分が登場した時に佐藤春夫が潰しにかかったけれど(芥川賞選考委員だった春夫が、慎太郎を評価した船橋聖一に「石原に芥川賞をやったら、君たちが売れなくなるヨ」とか言ったのは事実)、中村光夫が春夫に向かって「年はとりたくないものです」と反論してくれたと語っていたのは間違い。
光夫の歴史に残るこの名言は、戦後間もなくアルベール・カミュ「異邦人」評価をめぐって、不条理文学が理解できなかった大正期作家である広津和郎に向かって、訳した光夫がからかった言葉のはず。
「異邦人」も学生に「卒業するまでに読みなさい」と勧める作品だけれど、光夫の訳は有名な窪田般若訳「今日、ママンが死んだ」ではなく「きょう母が死んだ」というガッカリさせられるものだった。
(訳し方ひとつで海外の文学の評価が変ってしまうのでコワイものだ。)
文学史に残る「異邦人」論争を伝えたくて書き始めたのに、前置き(?)が長くなって疲れてしまったから、これにて!