俳句  夏井いつき(の思イツキは誤り)  上海バンド

夏井さんと言ってもピンとこないかもしれないけど、タレントに俳句を詠ませて辛口の批評をする民放番組の先生と言えば分かるかな。
ボクも偶々食事時(ボクにとっては昼飯)に見ることがあるけれど、その評言がじつに面白いので勉強になる。
3週間ほど前だったかは、都知事選に落ちた鳥越さん(やっぱり準備万端の宇都宮さんが出るべきだった)がこの番組に出ていたのでビックリしたけど、彼はこの番組(特に夏井さん)のファンで毎回見ているとのこと。
残念ながら(予想どおり)鳥越さんは1位合格とはならなかったけれど、夏井さんの批評には改めて感心したものだ。
彼女は今年度の「NHK俳句」の講師も月に1度務めていて(水曜午後3時に再放送)、やはり評言が面白くて他の先生より笑える。
毎回投稿句から優れた9句が選ばれ、番組中にその中からベルトスリーを選ぶのだけど、昨日はMCとゲスト(とボク)の思惑と大きく外れた句を1位にしていたので違和感を覚えた。
 黄落す 上海バンドの バーの灯へ(「黄葉・黄落」が季題)
がそれなのだけれど、どう思う?
大して面白い句とも思わないのだけど、夏井さんは「へ」が効いていると言ってたのはナルホドだけど、1位じゃないよナ(NHK俳句のホームページで読める)。
それ以上に違和感を抱いたのは、夏井さんが中七から音が聴こえると2度くり返した点。
たぶん夏井さんはBUND(海岸通り・船着場)とBAND(楽団)を取り違えたのじゃないかな、楽団とハッキリ言ったわけではないけど海岸通りなどとも言わなかったし。
バーだから楽団だと思いついたのだろうけど、上海バンドは横光利一「上海」を始めとして戦前の文学作品にはお馴染みの場所であって楽団ではない。
ここは音(聴覚)ではなくて情景(視覚)だよネ。
俳句にはあまり出てこない地名のせいか誤解したようだけれど、海岸通りや船着場の音として理解したという強弁はみっともなくて夏井さんらしくないから聞きたくないナ。