春風亭一ノ輔  ヨネスケ

数ヶ月ほど前に知って少々驚いたのは、ハカセ(近藤裕子女史)が落語ファンであること。
特におススメの若手落語家を2人メールで教えてくれたのは覚えているけれど、その中に春風亭一ノ輔が入っていたかどうか・・・
というのも、先日蒲団に入って寝入る前にチョッと見た番組が、中島みゆきのテーマソングで有名な「プロフェショナル」であり、珍しく落語家が取り上げられていてそれが一ノ輔でひどく感心したから。
初めて見る落語家のようだったけど、21人抜きで真打になったというので興味を惹かれて消さずにいたら最後まで見てしまった。
21人抜きというのも十分に納得できる実力のある落語家だと思った(と言うと落語ファンから遅いヨ、と非難されそう)。
柳家小三治(いつの間にか人間国宝になっていてビックリ! そんな実力は無い!)が「久しぶりに出たホンモノだ」と言ったそうだけど、的確な表現だ。
人情噺ではない談志や枝雀の笑いネタが大好きなボクとしては、(世評の高い志ん朝も先代の円楽も感心したことはないけど)一ノ輔の話の上手さには感動したナァ〜。
談志も志の輔小三治も声が悪いのが欠点だろうけど、一ノ輔は実に美声のバリトンで聴いていて気持イイ(往年の美声バリトンフィッシャー=ディースカウを思い出した)。
話が上手い上に美声で表情の作り方もイイから言う事なし!
一ノ輔を聴けばヨネスケ桂米助)は真打を返上して落語家を廃業するだろう、落語家としてはサイテーの存在なのだから。
下手過ぎて落語家の名に値しないヨネスケを引き合いに出せば、一ノ輔は現在サイコーの落語家・真打だと言いたい。
印象に残ったのは、晩年の談志や枝雀と同様に高座に上がる前は自己の卑小感にさいなまれること。
談志や枝雀ほど病的ではないけれど、一ノ輔が強烈な自負と裏腹の卑小感に苦しんでいるのが伝わってくる映像は、この人はさらに進化することを明かしていると感じた。
ヨネスケが己を見つめる眼を持てば、恥ずかしさで廃業するか自殺するはずなんだけどナ。