【見る】「100分で名著」  北条民雄  荒井裕樹

 今夜から「100分で名著」が北条民雄いのちの初夜」を取り上げるとのことなのでおススメします。北条民雄ハンセン病に罹患した経験を小説にしたのが「いのちの初夜」で、自殺の衝動を克服していく過程が感動的だ。小説執筆を勧めたのが川端康成であり、作品を文芸時評で取り上げて世に知らしめたのが小林秀雄だ。この文芸時評新潮文庫『作家の顔』に収録されていて、在職中にテキストとして使ったことがある。幸か不幸かこの授業を受講していた荒井裕樹さん(二松学舎大学教員)は「いのちの初夜」に決定的な出遭いをして、その後『隔離の文学 ハンセン病療養所の自己表現史』(書肆アルス)にまとめられる論文を書き続けることになった。もちろんもう一つの著名なハンセン病小説である小島正子「小島の春」論も収録されている。

 「いのちの初夜」も角川文庫に入っているので、まずは作品を読んでみよう。