【読む】つかこうへいの作品  傑作中の傑作「熱海殺人事件」  在日韓国人という意識

 言い忘れたことがあった。つかこうへい(故人)のオカマ差別はつかが在日韓国人であるという意識に由来している、という可能性があるかもしれない。「天は人の下に人を作るものだ」という差別の構造に基づいているかも、ということだネ。「つかこうへい」という和名(ひらがな)のペンネームを使っていたのも、在日韓国人であるという意識の強さからかもしれないネ。

 つか特有の屈折した差別意識は作品の随所に現れていると思う。ぜひ読んでもらいたい傑作「熱海殺人事件」もブス殺しの犯人を、警察官3人がそれらしく仕立て上げていくプロセスを楽しませる戯曲だ(小説版もあるけど)。今やあまり演じられない・読まれなくなったつか作品だけど、役者の《肉体》ではなく《言葉》によって舞台に傑出した表現世界を創出したつかこうへいを読まない手はない!