【本を買う】ピカソ画集  竹内好  歴史書  「太平記」特集号  林芙美子

 血圧とぜん息の病院がある国分寺に行くたびに例の七七舎という古書店に寄るが、このところ収穫が多い。先日はピカソの画集などが100円でゲットできたヨ。なぜか2種類のピカソ画集が並んでいたけど、日本で展覧会があった時の分厚いものよりも『西洋絵画の巨匠⑦ ピカソ』(小学館)の方を選んだ。作品数は少なくても解説(関直子)が丁寧でピカソ初心者のボク向けだったからネ。前者だと他の画集と並べて終わり、となりそうだしサ。

 もう1つの収穫は竹内好『新編 日本イデオロギイ』(筑摩書房)という歴史的名著で、戦中の(小林秀雄も参加した)シンポジウム「近代の超克」を正面から批判しえた竹内の思想を根底から勉強できる書が100円とはネ。「インテリと民衆の結びつき」「政治と知識人」「日本の民衆」等々とボクの昔からのテーマに関わる論文が並んでいるけど、今じゃ流行らないからこの本も100円なのかな。

 あとは岩波文庫で、アーネスト・サトウ『一外交官の見た明治維新(上)』とタキトゥス年代記(上)』の2冊(2冊本の1冊だけだから安価なのだろうけど、面白ければ(下)も買えばいいわけだ)。サトウの本はしばしば引用で読むけれど、現物が目の前にあるので買っておいた感じ。フロイスの本も読みたくてこの店で以前数冊ゲットできたものの、まだ読んでないのにネ。

 タキトゥスアウグストゥスからティベリウスまでだそうで、目次を見るだけですぐに読みたくなる。こちらも塩野七生のローマ史(とその他)をほとんどそろえているのに、部分的にしか読んでないのにネ。日本史でも世界史でも読みたくて仕方ないけど、読み始めると文学書に戻れなくなるので控えているというのが現状だからナ。歴史書はトシをとったら読もうと思っていたものだけれど、気付いてみれば十分にトシをとっているのにまだ文学に対する未練が強いようだネ。

 最後の1冊は『国文學』(学燈社)の「太平記」特集号で、七七舎には常にこの雑誌の面白い特集号が並んでいる。「太平記」は以前にも記したとおりずっと関心があって兵藤裕己さんのものをはじめ数冊持っているのだけど、この雑誌があったかどうかが不確かなのでつい買ってしまった。帰りの電車で山口晶男と中沢新一の対談を読み始めたものの、帰宅して本棚を見たら同じ雑誌があったヨ。というわけで興味のある人がいたら上げるヨ、ただし学大で受け取れる人に限るけどネ。

 

 この1・2年、火野葦平林芙美子の作品や関係書を読んでいるけど、ユウ君がボクのパソコンからアマゾンに注文しやすいように設定してくれたのを使って芙美子の文庫本を4冊ゲットしたヨ(葦平の本はかなり集めてある)。『下駄で歩いた巴里』(岩波文庫)などで早速読んでいるところだヨ。買ったのはエッセイ集が多いのだけど、『日本の文学』(中央公論社)の芙美子集で小説を読んでいると「晩菊」はじめ「浮雲」などの濃密な文体に感心するばかりだネ。もちろん「放浪記」もストーリーにばかり気を取られていると、芙美子特有の素晴らしい文体を見落とすから要注意だネ。