【読む】オ・スンヨン(呉順瑛)の翻訳書が朝日新聞の読書欄に  『空間の未来』

 オさん(通称オッちゃん)を知っている人はどのくらいいるかな? 学大院修士課程で内田道雄先生の指導の下で漱石論の修士論文を書いて修了した後、学大連合大学院(博士課程)でハカセ(近藤裕子先生)に学んで臨床文学論を身に付けて博士号を取得した韓国の女子留学生。頭脳明晰な上に日本語もことのほか得意なので、ユ・ヒョンジュンと言う韓国の「人文建築家」の著書『空間の未来』(クオン)を翻訳したのだけど、それが朝日新聞の書評欄(毎週3~4ページ)に取り上げられたのだネ(10月26日)。

 書評(福嶋亮大)によれば筆者であるユ(愈)さんは「韓国の気鋭の建築家」であり、「ポストコロナ時代にふさわしい新しい建築様式」を模索しつつ韓国の都市空間そのもの再設計するという構想を語ったのが本書とのこと。具体的には「集合住宅の各世帯にバルコニーを設置する」という提案をしているそうだ。一方では「異なる階層を共存させるソーシャルミックスの場」としての公園が必須だと説く。

 この「融和的な公園のデザイン」を応用して「北朝鮮との間の非武装地帯を線形の田園都市として、南北の交流の場に変えよう」と提案しているとのことだけれど、書評子も言うように「楽天的」過ぎてボクには付いていけなくなるネ。でも「本書を機に、韓国のすぐれた人文書が紹介されることを望む」というのは大賛成だネ。もちろんオッちゃんのように優れた日本語能力の持ち主の翻訳でネ。