東京学芸大学大学院 授業連絡(その2) 火曜6限

{学大の院授業が前期は2つあるので、連絡欄を分けました。こちらは一橋大院と同じく、受講者の希望する作家・詩人から3〜4作品を選んで読んで行きます。場所は研究室で、お茶を飲みながらくつろいで議論します。最初の作家は田村俊子で、先週は代表作の「木乃伊の口紅」を院2年の上村キェーちゃんが健闘しました。テキストは関谷研究室の前にある棚の上にあります。学部生でもヤル気のあるヒトは関谷まで。}
今後の予定
4/27 「離魂」 レポは今井君
5/12 「生血」 レポは大堀君

4/28
今日は立教博士課程後期の天満君が参加して、ゼミを盛り上げてくれました。無闇と頭の回転が速い天満君が今後も参加したいと言ったので、受講者も私も大歓迎。田村俊子はそんなに面白いとは感じませんが、フェミ系の論者がテクストの可能性を狭めているのが、先行研究から伝わってきます。

5/11
明日で田村俊子は終わりですが、次に誰をやるかが決まってません。
ヤル気のある人は、明日エントリーして下さい。

5/12
今日で田村俊子が終わる筈だったのですが、次の作家が決まらないので来週も俊子で「女作者」をやります。レポはエイリン熊本で、期待できます。
それにしても今日の「生血」で俊子を見直しました。面白いテクストです。

5/20
来週から森茉莉に移ります。
26日は「恋人たちの森」をジェームス畑澤が発表します。
昨日受講生に聞いたら誰も読んだことがないと言うので、「気違いマリア」をコピーして渡しましたが、再来週誰か発表しませんか?

5/26
ジェームス畑澤の「恋人たちの森」はつまらないテクストを面白く論じた典型でしょう。来週6/2は「気違ひマリア」をキェー上村(と郭さん)が発表します。
森茉莉は2作で終わりにして、次は葉山嘉樹になりそうです。

6/2
キェーちゃんのみの発表(留学生には難解過ぎて無理なテクストでした)。
あまり議論が展開しないかも? と心配しましたが、天満君とジェームス君のツッコミに応じてレポが頑張ったせいか、とても盛り上がり有意義な議論ができました。
来週から葉山嘉樹で、「万福追想」を葉山研究者の今井君が、その次は「氷雨」をミヤチン(宮崎)が「氷雨」を予定しています。3回目は留学生の予定。葉山に関心があって参加したい方は関谷まで連絡下さい。

6/9
今井君が葉山をどんな風に料理するのか楽しみでしたが、「語る私」と「語られる私」の二項対立を持ち込んだナラトロジー論からのアプローチは、葉山論としては新鮮でした。でも刺激的な面もありながらも、論としての充実感はイマイちでした。プロ文の文脈から切り離した時に、その作品がどうすれば面白く読めるのか、課題は大きいですが、来週は「氷雨」をミヤチンがどう切るのか、、、切られるのか、、、
その次の作品は未定。中国の留学生がプロ文は嫌い、と言うのは良く分かる。

6/16
ミヤチンが意外にガンバッテ盛り上がりました。今井路線を踏襲した読みでしたが、その点は不成功な感じながらオモシロさはありました。それにしてもプロ文について知らないヒトが多くて、時代を感じさせられました。
<降る雨や 昭和も遠くなりにけり> 分かるかな?
来週からは里見紝に切り替わり、最初は新井君が「慾」で模範を見せます。名前ばかりで読んでない点ではプロ文と同じですが、この際だから紝の作品の代表的なものくらいは読みましょう!
@ テキストは明日、ヨシオ〜カ君が作って廊下引き出しの2段目に入れておいてくれます。

6/23
新井君は教育実習明けだとかで、自覚していた通りの準備不足の発表。「慾」をキイワードにして、物語内容だけでこのテクストを論じようとしても、面白くはならないだろう。解ってくれたようだが、やはり特異な語りの特質を論じないと面白くはならないだろう。語りの観点からは、意外にオモシロイテクストだと感じました。新井君のおかげで出会えたテクスト。
来週はエイリンとカクちゃんが「善心悪心」、その次はジェームスが「妻を買う経験」、次がミヤチンとキンチャンという面白そうなペアが「椿」で紝は終わり。
最終回21日は天満君が中島敦山月記」、終了後に打ち上げ予定。

6/30
レポの二人が期待以上に健闘、盛り上がって3時間半ほどの議論に。日曜日、雨の中の釣行(保田・館山)疲れを忘れるほど引き込まれてしまいました。カクちゃんは乱暴な断定ではあるものの、研究のパラダイム・チェンジがなされていない中国からの留学生にしては論になっていました。エイリンは学大での勉強の成果が現れていると思えるレジュメで、自身の読みが明瞭に出ている点で評価できます。<語り手>が登場人物を対象化(評価)している点を指摘するなど、一年前にはエイリンから聞けなかったこと。それにしても二つの異質と思われるレジュメをリンクさせてまとめてしまう天満クンの力業(ちからわざ)は、天馬空を行く才能でいつも意表をつかれます。(疲れません、おかげで。)
来週は学大エースのジェームス畑澤と丼(ドブリ)君の「妻を買う経験」。個人的には永久に「妻を売る経験」を実行したいのだけど、、、お安くしときますが。

7/7
端的に言ってオモシロクもない作家の作品が続いているのに(と言う感想多し)、レジュメのお蔭か毎回議論がオモシロクできているのは参加者の実力の現れか、、、里見紝も例外ではないが、今日のジェームスの大胆な読み込みはテクストを超えてオモシロク読めていて議論を支えた感じ。一方のドブリ君は学部以下のレジュメながら、勉強の成果が発問として生かされていて、サボッていないことだけは判明。読み込んでないと、質問もできない、ねぇキンチャン。ボーッとしているだけでは、修論は遠のくばかり、ねぇミヤチン。
5年前くらいの修了生(根本研究室)小沼君が飛び入り参加でビックリ。ドブリ君とは寮仲間だそうで、その発表が心配で来たとか。専任になることを拒絶しつつ、産休の穴埋め専門の講師に敢えて甘んじる小沼君の生き方には、賛同者もいるかも。ヘンなヤツなので、こちらもヘンなミヤチンを相手に選び3人で話し込んでいるところへ、もう一人のヘンなヨシオ〜カが登場。バイトでこの授業を取れないと言っていたはずなのでエーッ? という現れ方。ケン人会ならぬヘン人会の顔合わせと言った雰囲気でした。(先週の欄に釣行のことをツイ書いてしまって、秘密釣行がバレて今タイヘンな目に合ってます。稚鮎釣りを除くと久しぶりの釣りだったので、浮かれて書いてしまったようでイヤハヤ、、、)ゼミ終了後、上記3人と歓談していたら天馬クンが現れたのも驚き。ジェームスの発表が聴けずに残念がっていた。
来週は里見紝「椿」です。ミヤチンとキンチャンで持つかな? と言ったら、ミヤチンが「失礼な!」と怒ってました。期待できそう。

7/14
予想に反して「椿」論は議論が活発で4時間余り掛かりました。ミヤチンの意図せぬ偏向読みのみならず、キンチャンの読みもそれに影響されたか妙な所があって挑発的でした。意識しないのに奇異な読み方ができるミヤチンはスゴイ! オカシイのを自覚してもらおうと皆が四苦八苦しているのに何処吹く風、というのが自然体だからスゴイ。天馬クンが例によって高速回転の頭でツジツマを合わせてやろうと、ミヤチンレジュメを再構築しようとしたらしいが果たせず。全員ツカレタ!
キンチャンが大分院生らしくなってきたような感じ。甘えは取れないようだが、本来の甘えっ子が異国で励んでいるのだから已むをえないか、、、

@(要注意!) 来週は4時から天満クンの「山月記」をやり、終わり次第打ち上げ
        の呑み会に入ります。この授業は後期はありませんから、今年の最
        後です。前期「日本文学表現」という授業を担当していただいた山
        田夏樹先生(修士は本学)を慰労のためご招待してます。質問責め
        等でイジメてやって下さい。センセイの立教の後輩二人も参加する
        予定でしたが、別の用件ができて来れなくなったそうで残念。

7/21
天満クンの「山月記」論は期待以上に挑発的でした。ただそれが十分に伝わったか、
というと、、、聴く方だけのモンダイではないですが。こんなに手垢だらけのテクストで何かを言おうとする意欲だけでも大したものですが、それなりに言いのけてしまうところが才能なのでしょうか、、、李徴のような、と言ってはいけないのでしょうが。確かに論文化して世に問うべき水準だとは感じたので、時代背景をもっと緻密に補完しつつ仕上げる必要はあるでしょうが。
授業の最後を飾るのに相応しいレベルの発表だったのは、聴いたヒトには伝わったと思います。遅刻してきたドンブリ君(ブルガリア人)が打ち上げに参加しなかったのは? 酒好きそうなのに、、、(徹夜で呑んだ訳じゃないのに、今午前5時)