百田尚樹(補遺)  藤井四段  (半年前の記事)

百田尚樹に関わる興味深い傾向を付すのを忘れていた。
古来(といっても大衆小説の始発は大正末頃だけど)大衆小説・通俗小説作家は思想的に右翼的になる傾向があるという。
高見順『昭和文学盛衰史』で読んだ気がしたのだけれど、該当箇所が見つからない、平野謙の著作だったかな?
ともあれ直木賞の由来となった直木三十五が右傾化の典型だったように記憶するが、直木賞作家の多くが文字どおり大衆(今で言うポピュリズム?)のレベルに合致しながら大衆を破滅に導いていったことを忘れてはならない。
直木三十五の作品同様に、百田尚樹の小説が売れたであろうが、それが国民を政治的に右翼的に偏向させていくか否かは読者の判断力の問題であって、藤井四段の読書傾向を朝日新聞が限定して良いわけはない。
百田の小説が売れるのは通俗小説を書く能力があるからであって、その能力と低能な右翼的発言(沖縄の進歩的新聞は2つとも潰さねばならないとか)とは別物だということは自覚していないと、不毛な排除合戦に陥ってしまう。
小説を書く能力は言わば《公》であって、低能な発言は《私》に属するのであり、この《公私》は混同されてはならない。
朝日新聞がこの「公私混同」を犯して「藤井四段は百田の小説を読まない方がいい」と決めつけるのは、根本的に誤っているという外ない。
誤っている以上、この点に関しては百田と藤井四段に謝った方がいい、なぁんてシャレてる場合じゃないか。
それにしても百田ってホントにバカだよネ、余計なことを言って己の作品を侮辱しているようなものなのにネ。