近代文学合同研究会  宮澤賢治  東京学芸大学

9月のヒグラシゼミが中止になったので、前に予告した通り別の研究会への参加と表明するとともに、皆さんにもおススメします。
以前にも参加したことがありますが、レベルの高い研究会でテクストを読んでいけば(当たり前ながら)収穫が多いでしょう。

「合同」の意味は、そもそも立大・学習院大などの院生が集まって催していた研究会だったとのこと。
ヒッキー先生も昔から参加していた研究会だそうです。
賢治にはあまり興味のないボクですが、「北守将軍と三人兄弟の医者」という作品は大川武司クンの優秀な修論で知ってから関心があるので聴いてみたいと思っています。
もう1本の発表には興味が無いので帰る予定。


近代文学合同研究会通信(100)   2017.9.9  松村良作成


〈9月研究集会のお知らせ〉

日時 : 2017年9月24日(日)15:00〜18:00

会場 : 東京学芸大学 人文二号館 二階 第二演習室
正門から入り、まっすぐ歩けば最初にぶつかる建物です。区型の建物の左真ん中です。



JR 武蔵小金井駅・北口より、【京王バス】〔5番バス停〕「小平団地」行に乗車、約10 分。
学芸大正門」下車、徒歩約3分(徒歩の場合は約20 分)
http://www.u-gakugei.ac.jp/access/

※当日の連絡は 松村良携帯 070-5580-6017 へどうぞ。

内容 : 張永嬌さん(千葉大学大学院)と相澤芳亮さん(立正大学大学院)の発表

●張永嬌「宮澤賢治作品と戦争をめぐって―「北守将軍と三人兄弟の医者」を中心に―」



主旨:一九三一年七月に佐藤一英編集の季刊誌『児童文学』の創刊号に「北守将軍と
三人兄弟の医者」が発表された。「戦争」が主題とする作品であるにもかかわらず、
物語の韻律・法華経信仰・作家の個人体験・人間像・作品の文体と改稿過程など対す
る評論は一般的であった。一方、宮澤賢治作品と戦争についての論調は全体的に少な
いものの、近年の賢治研究が「人間愛」、「自然愛」、「仏教思想」など賛頌の観点
から脱却し、宮澤賢治と「戦争」を結びつけて論じる機運は高まっている。例えば、
安藤恭子宮澤賢治作品に出てくる権力関係を当時世界の国間の関係と連動し考え
た。西成彦宮澤賢治作品に出てくる「北」という方位に目を向き、そして開拓する
対象である岩手県を違う角度を見た。植民地文学の一形態としての宮澤賢治作品を読
み解く可能性を示してくれた。そして、吉田司大澤信亮は一般の救済の仏教思想か
ら抜けて、宮澤賢治が信じていた国柱会国粋主義との関わりを探求した。宮澤賢治
作品と戦争との関わりを探求することは無意義とは言えない。本論は、「戦争」を
テーマとする作品「北守将軍と三人兄弟の医者」について「雑誌メディア」、「歴史
的コンテクスト」、ポストコロニアルなどの視点から出発し、先行研究を踏まえつつ
再検討するものである。

●相澤芳亮「永代美知代『ある女の手紙』の一考察(仮)」

テクストは新編日本女性文学全集第三巻(青柿堂 2011)か広島大学がオープンにして
いるPDFファイルを参照してください(広島大学 岡田美知代または広島の女性作家岡
田(永代)美知代で検索すれば引っかかるはずです)。