【見る】是枝裕和(⇔古市憲寿)  韓国映画  「ベイビー・ブローカー」

 是枝裕和さんは監督した映画を見る以前からそのエッセイに感心し、自分の定年退職記念の文章にも引用したと記憶している。その後に映画を数本テレビで見たけど、本職の映画のスゴサにも圧倒されたネ。それとは正反対で「本職(専門性)」も無いに等しい(絶対値が小さい)のにむやみと出たがる古市憲寿を対照させたのは、フジテレビの朝の番組で2人が並んで出ていたので驚いたからだネ。ボクにとっては真逆な2人が一緒に並んでいる皮肉(?)が受け入れがたかったということかな。それもただでさえひと目にさらすツラでもない古市が、上下とも幅広のストライプのある茶系を身に付けていたのでピエロ丸出しだったヨ。専属のスタイリストがいるはずもないけど、まさかそこまで組み合わせるかというセンスの悪さで呆れたネ。

 何でこの2人を組み合わせたのか不可解だったけど、この番組では古市をインタビュアーにして話題の人の話を聞くということだった。それにしても絶対値の薄い古市に映画についてインタビューさせるというのは無理があるけど、そこはインタビュー(質問だけ)なら無知な古市でも使えるということのようだ。以前「中居正広のキャスターな会」(テレ朝、土曜昼)で「有識者」会議に招かれたという古市に向かって、中居と劇団ひとりがそろって嘲笑しながら「何が専門なの?」と問うたら、古市が「自分のようにテレビに出ている人間の意見を求められたようだ」と応えていたのも笑えたネ。確かに専門性に基づいた意見は言えなくても、テレビ・タレントとしての感想なら古市にも言えるということだネ。

 

 いつものように前振りが長くなったけど、要は是枝さんの最新作「ベイビー・ブローカー」は素晴らしそうだということ。是枝さんが韓国の俳優やスタッフと映画が創れたのは、主演(?)のソン・ガンポのお蔭が大きいとのこと。光州事件を描いた「タクシー運転手」でもアカデミー賞をとった「パラサイト 半地下の家族」でも中心的な存在だったソン・ガンポならなるほどだネ。朝日新聞の土曜版のアンケート記事(7月16日)でも、「ソン・ガンポに外れなし」という見出しが付いているヨ。のみならず7月22日の夕刊ではヒロインのイ・ジウンが取り上げられていて、是枝さんが別の映画の彼女の演技を見て出演を依頼したというのが分かる言葉が紹介されていた。

 《(ヒロインの)ソヨンのもう一つの大事な要素は、彼女が不完全だということでした。それは登場人物全員に言える。彼らは足りない部分を補い合っています。だから魅力があるんです。》

 人間としても役者としてもこれだけ自覚的な存在だからこそ、是枝映画に欠かせなかったということのようだ。

 

 1度目に入った汚物から目が離せないようにこだわるようだけど、古市憲寿が人間としてカワイソーなのは無自覚なまま流されている点だろネ。無内容な存在なのにチヤホヤする側にも責任があると思うけど、例えば小説が書きたいなら下らぬ番組などに出ないで執筆し続ければ良さそうなのにネ。文壇は新しい話題作りをしたいので、過剰な評価をしつつ芥川賞を与える傾向があるしネ。とはいえ又吉直樹の場合は芸人が小説を書いたというより、作家がたまたま食うために芸人をしていたという感じかな。描かれる世界は狭いものの、又吉は書かずにはいられない作家としての才能があふれているよネ。

 長くなるからあと一言で止めよう、是枝さんも又吉もスゴイけど、古市はクソだヨ!