日本文学概論Ⅰ

試験の採点結果報告

1年生の必修である近代文学概論は、昨年度までは拙著『シドク』の「和解」論を中心にやってきたのだけれど、今年度は明治から昭和までの小説のアンソロジーをテキストに講義しました。 たくさんの文学テクストを読む楽しみを味わってもらいつつ、文学研究の…

東北災害のために早々と今期最後の授業。 先週に比べると受講者が増え(やがっ)て、用意したプリントが不足したので後ろに座っているヒトに不自由かけた、ゴメン! 前回の更新記事で書いたと思うが、細部の表現をめぐる問題。芥川の死を契機に書かれた志賀…

明日7日は横光利一「蠅」

先週の授業メモに今秋の予定作品を記し忘れたので補記しました。 先週、鷗外(『諸国物語』)から龍之介に受け継がれたクローズアップ的な表現を「藪の中」と「阿部一族」の細部描写を比較してみせたが、細部への拘りに対する志賀直哉の異見を紹介することか…

このところ記し忘れが多いが、今日の授業中にブログに記す約束をしたので、とりあえず今日の分。 漱石の龍之介宛て書簡で、午前中に「明暗」=<西洋>(バター臭い)風三人称小説を、午後は漢詩=<東洋>を作って自己救済を図るという構図を確認した。 太…

知っておいた方がイイ言葉(概念)

毎週、重要事項だけは記すつもりでいるのだが、多忙にかまけて先週は記入できなかった。許せ! 先週は4人もレポートを提出した。この意欲! 上級生よ、負けるナ! 質問に応える形で補足した<アンビヴァレント>なありかたという捉え方は覚えておくと便利。…

「范の犯罪」の後は「夢十夜」から第一夜

テクスト論と作家論・作品論の差異は重要だから忘れないように! 要はテクストの読みに作家を導入するか否かという問題。 作家を前提にすることが正しいか否かではない、単なる流行の問題で最近はテクスト論が流行って主流ですということ。 作品論が間違って…

次回は「范の犯罪」

20世紀における世界観・人間観の変容を説明していたら、時間がかかって「范の犯罪」が全くできなかった。 実体から関係への転換という変容は1年生には難しいだろうけど、春樹などの現代文学や現在の文学研究の根底になっている考え方なので、理解してもら…

「鯉」と「范の犯罪」を読んでくること

前回、予定しながらもできなかった井伏の「鯉」を軽くやった後に、志賀直哉「范の犯罪」を読みます。 自分の読み方を発表する意欲的な人が少なくないので、刺激的で楽しみです。

今年の一年生はヤル気マンマン

毎回記すつもりだけど、あれこれメチャ忙しくて先週21日は書けなかくて残念。 先週は予定外に「炭鉱地帯病院」に時間を費やして、井伏文学から日本文学の笑いについて話してしまった。 この作品はいわゆる「真相」があって、三人の証言が意識的に嘘を吐い…

こんな授業で〜す(来週は芥川の作品です)

シラバスには書けなかったことを2つ3つ。 今日明言したように、学大のカリキュラムは教育専門学校並みのペラペラさだから、自分で意欲的に摂取していかないと文学部生と太刀打ちできない。自主ゼミで補うのが有力な方法の一。 この授業に関しても、内容が…