小澤征爾  ドナルド・キーン  檀ふみ  若村真由美  ベートーベン

たった今、BS−TBSで小澤征爾ドナルド・キーンの対談を聴きながら仕事イスに座ったまま2度めの昼寝(仮眠)をしていたンだけれど、興味深くて寝るのを止めて起き上がってしまった。
キーンの文学論にはほとんど感心したことないし、演奏は素晴らしいけど小澤が面白い話ができるとも思えなかったンだけど、昔の演奏家のエピソードも含めて深いイイ話が盛りだくさんだ。
これを記し始めたのは何よりキーンが「英語のオペラは大嫌いだ。つい言葉の意味を聞き取ろうとしてしまうので音楽を聴くジャマになるし、英語の母音はオペラに向いてないから。」と言うのがとっても示唆的だったから。
小澤がこれに同調して、「ブリテンの『ピーター・グライムズ』を指揮した時に、言葉を聞かそうとしてとっても苦労した。ロシア語は分からないものの、イタリア語・ドイツ語(フランス語も?)は母音が音楽に載りやすいけど、英語の母音は音楽に合わないンだな。」と付け加えたので、なるほどそんなもんかとエラク納得したものだ。
ブリテンのこの曲は時々「4つの間奏曲」が演奏されるけれど(EテレのN響アワーでノリントンが振ってたネ)、これには歌が無いので分からないだろうけれど、全曲を録画しているボクはこのオペラがツマラナイのは自分が少しは分かる英語のせいもあるのかも、とオバカな感想を抱いていたのでキーンの発言にはとても教えられた。
司会が檀ふみなんだけど、この人は嫌味が無くて好感が持てるけど、昔N響アワーで池辺晋一郎のアシスタントをしていた時はチャイコフスキー好きのオバカさんかと思っていたものの、あれは演技だったかもしれない? と思わせるほどクレバーな進行と博識ぶり(予習したのかナ?)を示していた。
先日、同じアシスタントをやったことのある若村真由美という女優が土曜の旅番組に出てきてその容色の衰えぶりにビックリしたけれど、檀ふみは何年経っても変わらないのも驚きだナ(昔から老け顔だからかな?)。
若村という女優は確か朝ドラ(どれも見たこと無いけど)で登場した子で、その後は新興宗教の教祖と結婚したのだと思うけど記憶違いかな?
結婚は3度めとかいう大柄で化け物みたいな坊主頭の教祖と結婚したのは、若村の母親が(若村本人も?)熱狂的な信者で結婚させたという記事があり、新興宗教のオゾマシサにゾッとしたのは覚えているから事実なんだろう。
(ここまで記したら番組が終ったので仕事〈漱石についての短い論だがものすごくタイヘン〉に戻り、今度はBSプレミアムを見ながら書いている。大好きなちあきなおみと最近入れ込んでいるテレサテンのカヴァー曲が見に沁みる。)
小澤の対談の裏番組として中日・巨人戦をやっていて、中日が引退する朝倉に投げさせるというので中日球場が異様に盛り上がっているようだけれど、我慢して対談を聞き続けた。
キーンが生涯で一番感動したオペラは1941年に聴いた「フィデリオ」なんだそうだけど、ワルター指揮のフラグスタートが主演という歴史的な演奏家の名ばかりで懐かしいだけでなく、この年の前年はまだヨーロッパがナチの支配下にあり、それが不当にも牢につながれた人々の不屈の闘いに重なり涙が止まらなかったというのだ。
ベートーベン唯一のこのオペラにも明確だけど、彼の音楽には自由への憧れと闘いが響いていると言われているとおりだ。
小澤が遠慮がちに現代の政治状況に触れながら、戦争を知らない政治家がまた戦争を引き起こすのじゃないか、という危惧を述べていた。
今日もBS1で放送していたけれど、「映像の世紀」のようなものをもっと教育現場で見せるべきだと考えていた矢先だったので、小澤の発言は貴重だった。
歴史の教科書でも受験問題でも現代が軽んじられていることも危惧されるが、戦争を体験した世代が減っていく穴埋めの意味以上に、戦争や異民族虐殺の歴史を映像で伝えるべきだと本気で思っている。
ナチのユダヤ人大虐殺のみならず、9月1日にちなんで関東大震災のどさくさまぎれに朝鮮人の虐殺についてブログに記そうと考えていたので、体験者がいなくなる代わりに映像で伝えなければ「歴史は繰り返す」ことになるだろう。
現に今の日本の状況は昭和初期に似てきたと感じているのは、ボクだけじゃなかろう。
ヘイトスピーチ1つとっても、異民族との共生・共存という意識が薄れているばかりではなく、武力行使国際紛争を乗り切ろうとしている傾向など、まるで大正末から昭和初期の反動的動向を想起させて不安でならない。
などと長くなりそうだから別の機会に書くことにして、本題に移ろう。

2番めに感動したのが全盛期のカラスが歌った「ルチア」だというのだから、キーンは恵まれたヤツだと羨ましかった。
晩年のカラスは引退後も復帰してヒドイ声で晩節を汚したが、全盛期はソプラノとしては歴史上最高と言っていいと思う。
などと書くとキリが無さそうだから、このへんで。
この対談はいずれ再放送されるだろうから、BS−TBSの番組表を注意深くチェックすることをお勧めします。
今はプレミアムでプッチーニの代表作の1つ「トゥーランドット」を聴きながら記しているけど、服装が現代に置き換えられているのでドラマに入って行けない。
なんでも現代に置き換えるのが最近の傾向のようだけれど、演出が突出し過ぎるオペラは見ちゃいられないと思うのはボクだけじゃあるまい。
オペラそのものは聴いたことがないかもしれないけれど、テノールの有名なアリア「誰も寝てはならぬ」のメロディはフィギュアスケートで使われて以来ポピュラーになってしまい、ボクとしてはシラケている。
さっき眠らなかったせいか眠くなったので・・・最近は早寝早起きの傾向になってるけど、1回の睡眠時間は3時間前後。
寝起きが良くてすぐに難しい本が読めるのは血圧が高いせいかネ、薬のお蔭で80台半ばから130前後だけど。