放送大学「日本美術史の近代とその外部」  稲賀繁美  青山昌文  芳賀徹

今、一番の注目番組である「日本美術史の近代とその外部」が最終回で閉じた、残念!(しばらくすれば再放送が始まるだろうから、それを期待しつつおススメ!)
講師の稲賀繁美さんは現在のボクにとってサイコーのインテリとして崇(あが)めているのだけれど、最終回では一番恐れた(とはいえ予想していた)御仁が現れて苦笑が洩れた。
最終回だからということで稲賀さんが「恩師」である芳賀徹をゲストに呼んだのは想定内としても、それが予想通りのレベルの低い思い出話に終始していたのはガッカリだった。
稲賀さんは近年珍しく優れた研究者だと崇めていたのだけれど、駒場(東大教養学部)の臭いが強いので学生時代は芳賀徹の指導を受けざるをえなかっただろうと同情していたのは事実。
それが画面に突き付けられた思いだったので、失笑しながら受け入れてしまった。
放送大学で他の美術・芸術番組に出ている青山昌文と比べると一目瞭然なので観て欲しいのだけれど、稲賀さんの最初の講義を観た時は青山のレベルの低さに比べるまでもない充実した内容に圧倒されたネ。
とにかく目新しい様々な観点から日本美術史を見直して見せてくれるので、毎回楽しみでワクワクしながら観ていたヨ。


ゲストも毎回テーマにふさわしい人を招いて興味深い話を引き出していたけれど、最終回はまさか芳賀徹とはネ。
稲賀さんの師匠愛で呼んだのだろうけど、お蔭でなぜ芳賀徹が美術などに手を出したのかが分かったナ。
いわゆる優等生でフランス語はできたのかもしれないけれど(もっとも西本晃二さんレベルのヒアリングや、渡辺守章さんレベルの発音には遠く及ばなかった感じだったけど)、文学的センスも無さそうだし美術など芸術的センスにも欠けていた感じだったナ。
押しが強いだけの人で学生寮委員を務めていて寮生委員にも嫌われていたけれど、授業中に「人非人(にんぴにん)」をジンピジンと読んでからは徹底的にバカにされ、吉田光男始め学生たちからはハガトオルの濁点をズラしてバカトオルと呼ばれるに至った始末。
だから馬鹿(マカリ)通ルが文学ではなく美術の方面で本を出しているのが不可解だったけど、稲賀さんの講義に呼ばれて昔話を得々と話したのを聞けば、留学中にパリで出会った前衛的な日本人画家との付き合いによって己の生きる場を見出したとのこと。
つまり交友関係によって東大のフランス文学(駒場)の中で自己主張できたようなもので、文学・美術における理解の深さで認められたわけではなさそうだということが、稲賀さんとの対談でハッキリ伝わってきて納得。
こんな指導教員からよくも稲賀さんのような優れモノが出現したものだと思うものの、ホントに優れた者は自ずから育つものだと思えば、若い皆さんの励みになることだろう。


@ 差別用語とされているせいか、「人非人」が変換されなかったので、1字ずつ打っていたら本来の読み方と芳賀徹センセイが発した読み方を記し間違えていたので、笑うに笑えなかったと察することができた。
  今日、読み直してそれに気付いたので訂正しておいたので、笑えると思う。