【見る】司馬遼太郎の八木一夫回想  「おとなタイムマシーン」  放送大学の稲賀繁美さんの番組はスゴイ!

 たった今終ってしまった既に紹介したEテレ(火曜夜10時45分~)の「おとなのタイムマシーン」の再放送を、ブログでおススメするのが遅れて残念至極!(前回紹介したのは武満徹の「私とルドン」)このシリーズには立川談志が手塚治を連続して解説(?)するものも放映されているけど、こちらはクソつまらないから見るに値しない。談志の落語は好きで評価してるけど、むかし太田光向田邦子を数回にわたって解説した番組と同じで、単なるファンのレベルなのにハシャギ過ぎて無内容な解説をしたがるところもこの2人は似てるネ(太田は実力の割に出すぎだネ)。

 話を戻すと、今回むかしの日曜美術館で司馬遼が取り上げていたのは八木一夫だったので驚いた。このメチャ面白い陶芸家をボクが知ったのは、放送大学の傑出した番組である稲賀繁美「日本美術史の近代とその外部」の第13回だったけど、スゴイ陶芸家がいたことにまるで無知だったネ。絵画が平面であることをキャンバスに切れ目を入れることで美術史に衝撃を与えたフォンタナ「空間概念」の問題提起を受けて、八木は「小町のギプス」という作品で生地に切れ目を入れて見せている。ピカソの彫塑「牡山羊」に寄せて八木は「舞炉」という作品を造ったり、デュシャン「雄のイチジクの葉」や「貞操の契」などを意識しつつ「衣」を造っている。デュシャンの作品は女性器を思わせるもので、八木もそれをなぞって笑わせる。

 番組ではこれ等は紹介されていないけど、司馬遼のテーブル上には「ザムザ氏の散歩」という作品が置かれているけど、稲賀さんの講義でこれを知った時は驚き・感心したものだ。念のために言っておくけど、ザムザはカフカ「変身」の主人公の名だヨ。番組では「信楽土管」の映像が流れていたけど、これは稲賀さんの講義によればミロが来日した時に八木が信楽に案内したら、ミロが真っ先に狸の置物(例のキンタマ付き)を見つけ出して喜んだとのこと。八木の「信楽土管」にはこの狸が縮小されて造型されているのが面白い。

 

 ともあれ司馬遼が八木一夫を回想した番組はオンデマンドとかでもいいから、一見に値するのでおススメ。稲賀さんの放送大学の番組は今後も再放送される可能性が高いから、第13回は特に見逃さないようにネ!