読む

中島国彦編『漱石が愛した絵はがき』

長島裕子氏との共著で岩波書店刊、とっても楽しい本なのでおススメ! 漱石が受け取った絵はがきをカラ―で観ることができ、それがバラエティに富んでいて飽きずに眺めていられる。 それに文面も読めば、受け取った頃の漱石が彷彿としてくるので、書簡だけを読…

北方謙三(付記)  ハードボイルド小説  ヘミングウェイ

眠いのを無理に「道誉なり」について記したので、もう1つ肝心なことを書き忘れてしまった。 偶然「朝日新聞」の6日の「文化・文芸」欄に、北方謙三の「大水滸伝」シリーズ完結という記事が載っていてたので思い出せた。 私小説に限らず、事実を再現したよ…

「道誉なり」

作品名なのだけれど、これだけで分かってくれる人は少ないだろう、作者は北方謙三。 佐々木道誉というフルネームを出せば、通じる人もいるかもしれない。 (日本の)南北朝時代に特別な興味を抱いて兵藤裕己等の本も持っていると記したことがあったけれど、…

佐藤公一はオソマツ!  彩流社(高梨治)の無知

「読む」欄だけれど、読まないように注意を喚起する記事。 引退した身ながら少なからぬ著書を贈っていただくことが多く、感謝に堪えないことは記したばかり。 それでも頂戴しながらも、稀に「有難迷惑」と言うほかない著書もあるのも確か。 その第一が佐藤公…

探し物と女は探しても出てこない  『近代文学資料研究・1』  庄司達也

「○○と女は量より質」というのは誰でも知る(?)イチローの歴史に残る名言だけれど、「探し物と女は探しても出てこない」というのもけっこう行けてると思う。 やっぱ出会いにはタイミングがあるものだから、女をガツガツ求めても出会えるというものではない…

横光利一「旅愁」(岩波文庫)  十重田裕一

岩波書店の文庫送付用の封筒が届いたので、充実した評論集の平成版でも編集したのかとも思って開けたら「旅愁」の(上)巻だった。 十重田裕一氏が解説を書いているので贈っていただいたということが分かり、納得しつつ感謝の気持に満たされた。 「旅愁」は…

『論潮』第九号

隠居の身になったのに、在職中と同じように少なからぬ方々が著書や研究誌を贈って下さるので、感謝の念に堪えない。 先月頂戴した『論潮』は畏友・山粼正純氏が顧問格で支えている女性研究者の雑誌で、金時鐘(キム・シジョン)の大特集号を出したことがある…

安吾を読むゾ!  「黒谷村」  荒川法勝  守安敏久  柳沢孝子  

このところマジメに安吾を読み始めている。 安吾についての論を中心にもう一冊出すのが最後だと決めながらも、その安吾に集中できないままでいた。 文字通りの初心者の状態が克服できないまま、ほんの一部の作品しか読んでいないので、残された厖大な未読作…

フーコー『性の歴史Ⅱ 快楽の活用』

LGBTの問題をたびたび取り上げたものの、前回記したように性の在り方が多様すぎて分からなくなってきた感じなので、手許にあったフーコーの論を読み始めた(けど途中で放置したまま)。 他人の理論に依拠して論を作るのが嫌いなだけで(少なくとも自分で…

宇佐美毅『テレビドラマを学問する』

中央大学出版部・880円という本なんだけど、実は2012年8月の出版。 著者から贈られたものの、まったく興味が無い分野だったので、本を開く気も起らず放っておくしかなかったもの。 テレビドラマはほとんど見ないとは公言してきたけど(大河の歴史も…

松波太郎「月刊『小説』」

ボッキマン太郎の新刊本、表題作の他に「アーノルド」「関誠」「五臓文体論」の3作品を収録、河出書房新社・1800円。 今日、本人から贈られた。「また遊びに行きます!」と記してあったけど、いつになるやら・・・ 表題作にはボッキマンの写真が数枚〈…

崔仁鶴・石井正己(編)『国境を越える民俗学』  イチローの健康状態

8日に国分寺の内科に血圧と喘息の薬をもらいに行ったついでに、いつものように学大に寄ったらまたベンゾーさん(石井正己センセイ)から近著をもらった。 これもいつものように「誰が書いたの?」と質したのだけれど(本を出すぺースが異常に早いための疑惑…

坂口安吾  大久保喬樹

Eテレ月曜10時25分〜(再放送水曜昼0時〜)の「100分で名著」が安吾を取り上げ始めたので喜んだものの、講師が大久保さんだと知ったら期待が薄くなった。 聴いたら予想通りで何にも得られない結果となったけど(第1回に限ってのことながら)、期待…

「かたえくぼ」  「折々のことば」  石垣りん  石田徹也

朝日新聞のコラム欄が充実して面白いので時々取り上げているけれど、鷲田清一さんが2日続けてボクと同じ趣味の詩人・画家の言葉を引用したので笑いが洩れた。 7月4日は石田徹也の《僕の求めているのは、悩んでいる自分をみせびらかすことでなく、それを笑…

竹内清己『旅の日本文学(正・続)』  外尾悦郎『ガウディの伝言』

先輩の研究者である竹内さんから2冊いっぺんにいただいた本だ、龍書房で正が2800円で続が2200円也。 内容は表題の通りで旅にまつわるエッセイながら、筆者の教養の広さそのままに古典文学まで渉猟していて圧倒される。 量より質というのがモットー…

関谷一郎の書評出来  松波太郎「ホモサピエンスの瞬間」論  『図書新聞』  蓮實重彦(の三島由紀夫賞)  マスゾエル(舛添ル)

図書新聞は3回目だけど、書いてからこんなに時間がかかったのは初めてかな。 ともあれ3259号(6月18日発行)の4面に掲載されているので、大き目の図書館か本屋で読んでみて下さい。 発売されたばかりなので今はブログに載せられないけれど、ホトボ…

ガウディ  サグラダファミリア  外尾悦郎  西岡常一  小川三夫

先日のBSプレミアムで外尾(そとお)悦郎さんの特集の再放送をやっていた。 といっても知っている人はほとんどいないはずで、サグラダファミリアの彫刻家だ。 若い頃に思い立って何の伝手(つて)も無いままバルセロナに乗り込み、言い尽くせぬ苦労の果て…

リリー・フランキー  カヴァーズ(Covers)  いきものがたり  UA  JUJU

楽しみな番組の1つ、BSプレミアムの「カヴァーズ」は今週「いきものがたり」という3人組だったけど全くツマラナかった。 何より歌手がヒドイ! まるでシロウトのカラオケ程度。 なんでこんな魅力の無い声の歌手が10年以上活動できているのか、サッパリ…

 「若き芸術家の肖像」(ジョイス)  放送大学「世界文学への招待」

ジョイスの「若き芸術家の肖像」をチビチビ読み始めている(丸谷才一の旧訳を海老池俊治訳と対照しながらだけど、丸谷訳の方がジョイスらしくて断然イイ)。 むかし伊藤整との関連の授業で読もうと思いながら果たせなかったけど、退職した今だからこそ読める…

『夏目漱石博物館』(石崎等ほか)  『寺山修司研究』第9号

朝日新聞の漱石作品再連載(読んでないけど)の合間に、石崎さんがコラムを書いているのはご存じだろうか? さすがに長年の漱石研究を踏まえた薀蓄(うんちく)で、読み応えあるのでおススメ。 その石崎さんが漱石作品に出てくる様々な舞台を絵入りで解説し…

山根龍一の安吾論  森本淳夫の小林秀雄論

『日本近代文学研究』第94集については既に記したけど、その中のおススメ論文の1つ・山根龍一「軍人は藝術家か」(藝は原文のまま)は安吾「真珠」論なのですぐに読んだ。 「真珠」には既にたくさんの論があるけれど、山根論はとても斬新な切り口で問題提…

柳瀬善治の帰国

タイヘンな能力を持ちながらも台湾で燻(くすぶ)っていた研究者が、日本に戻ってきたので嬉しいかぎり。クスブっていたという表現はボクの受け止め方で、本人は当地で素敵な結婚相手に出会って幸せな毎日を送っていた、というのが実情なのかもしれない。 広…

『日本近代文学』第94集

一番ハードルが高いと言われる学会誌の最新号が届いた。 研究者の世代交代も進み、知らない名前が並ぶ中に田中励儀さんや宮内淳子さんの名を見つけるとホッとする。 とはいえお2人とも自分よりは年下だと思うので、「現役」なのは当然だったかな。 若手の名…

『大正文学論叢』第2号

聞き慣れない誌名だろうが、明治大学大学院宮越ゼミの機関誌名だ。 ゼミの機関誌にしては軽く1センチを超える厚さの、商業誌なみの雑誌の体裁になっている。 前号も贈っていただいてはいるものの、未だ拝読する機会を作れないのでコメントできないけれど、…

中野京子  聖書の世界

自家で不要な本を卒業生等に上げるために整理していると、未だに研究室の本が紛れているのを発見する。 昔と違って図書館がカヴァーを外さずに研究室に回してくれるので、紛れやすくなってしまうのだ。 カヴァーも本の一部なので、ケースやカヴァーを外さず…

『学芸国語国文学』最新号  佐藤隆

今年は松岡栄志さんの退職記念号ながら、「一般論文」としてヒグラシゼミの有力メンバーである佐藤隆クンの中上健次論が収載されている。 副題「言葉・二重化・関係性」をキイワードにした「枯木灘」論、読み応えのある重厚なものでおススメです。

椎月アサミ『星撃の蒼い魔剣』  学大卒のラノベ作家

表題のような本が講談社ラノベ文庫から出版されているヨ。 「佳作」ながら受賞作品とのこと。 著者は東京学芸大院修了生で、現在は国語科の助手をしている人。 許可を得てないので本名は明かさないけど、宣伝はしておくネ。 学大生は助手室に行けば(ドアに…

『中学国語 言語活動アイデア事典』

鈴木一史(茨城大学教育学部准教授)という人の編著で、表題の副教材(?)を贈られた(明治図書、1900円)。 有力な釣り部メンバー(エサどころか魚も触れない)であるダンちゃん(矢崎寛子)も全40章中の6章を執筆しているからだ。 ダンちゃんが書…

藺草慶子  句集『櫻翳(おうえい)』

25日の朝日新聞コラム「俳句時評」に、以前ブログに記した藺草さんの句集が取り上げられていた。 恩田侑布子(ゆうこ)という俳人が絶賛しているけど、その鑑賞が絶妙で教えられる。 なるほどそう読めば面白い俳句なのか、という感じで納得できる。 当然藺…

良書が100円  国分寺古書店

前にも書いた国分寺の古書店(北口から真っすぐ行って100mチョッとの左側)に寄ったら、本が「更新」されていて充実していたのでおススメ! 折口信夫全集(文庫版)が数冊、その他中上健次などの小説や澁澤龍彦のエッセイが各種、それに「オデッセイ」等…